2016年度第2回「デジタル公民館まっさき」活動

2016年度第2回「デジタル公民館まっさき」活動

日時2016年 7月30日(土)~31日(日)

会場[主な活動場所] 大船渡市末崎地区公民館(ふるさとセンター)

セミナーパンフレット アンケート結果
平成28年度一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)が大船渡市末崎地区公民館と協力して取り組むKK2「デジタル公民館まっさき」7月活動(7月30日‐31日に実施)の概要を報告します。
今回、公民館を地域の方々のデジタルデバイドの改善やITC活用を進める場とするPC・ネットよろず相談活動、熊本地震を題材に地域課題の共有と対話の場としての公民館活動、住民自身の自立をモットーとする集落コミュニティの視察など行いました。

2016年度第2回「デジタル公民館まっさき」活動 詳細情報

主な活動スケジュール 集合時間・場所(A:新幹線利用 B:夜行バス利用)
A:7月30日(土) 9:40 一ノ関駅の西口 在来線改札口付近
(東京駅 07:16発 一ノ関駅 09:33着 はやて111号 利用者を想定)
*一ノ関駅->末崎地区公民館はレンタカーで移動

B:7月30日(土) 11:30 末崎地区公民館
(池袋駅西口 29日(金) 23:00発 夜行バス 気仙ライナー釜石線+ BRT利用者を想定)
*気仙ライナーのチケット予約は大変困難な状況が予想されます。
  解散時間・場所(A:新幹線利用 B:夜行バス利用)
A:7月31日(日) 17:30~18:00 一ノ関駅の西口 在来線改札口付近
(一ノ関駅 18:37発の新幹線やまびこ54号利用者を想定)

B:7月31日(日) 16:00 末崎地区公民館もしくはBRT細浦駅等
(サンリアSCバス停 21:20発 池袋駅行き夜行バス 気仙ライナー利用者を想定)
*その他の方法で会場へ来られる方は事務局まで時間・ルート・方法などについてご一報ください。
募集人員 8名
参加費 企業・団体・自営業者等社会人の参加に伴う往復交通費は参加者負担になります。新幹線、夜行バスなど交通チケットの手配・購入は各自でお願いします。
学生(社会人のパートタイム大学生は除く)につきましては毎回2名程度KK2事業費負担とします。宿泊費、活動中の食費、レンタカー代等は社会人・学生ともKK2事業費で負担致します。その他の付帯活動で自己負担が生じることもあります。ボランティア保険は各自負担いただきます。
申し込みについて 復興から地方創生へ 今年度の「デジタル公民館まっさき」活動について、http://www.kk2.ne.jp/kk2/biz01/p1-14.html/
並びに事業計画書・収支計画書・参加ガイドラインをご一読のうえ、ご賛同いただけましたら「セミナー申し込み」ボタンよりお申込み下さい。なお、初参加や首都圏以外からの参加希望など、事前にご質問・ご相談がある場合は係までお電話ください。
申込締切:7月22日(金)
※定員に達し次第閉め切りとさせていただきます。
事前ミーティング 活動スタッフのみなさんには事前ミーティングへのご参加をお願いしています。
また、遠方で参加が難しい場合は、スカイプ等でのご参加を検討します。
日時:平成28年7月27日(水) 19:00?
場所:霞が関ナレッジスクエア ラウンジ
主催・問い合わせ先 霞が関ナレッジスクエア 「デジタル公民館まっさき」係

〒100-0013
東京都千代?区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート
西館奥エスカレーター上がる

TEL 03-3288-1921

2016年度第2回「デジタル公民館まっさき」活動 7月活動報告

 2016年度「デジタル公民館まっさき」第2回活動は7月30日(土)-31日(日)の二日間、活動拠点の末崎地区公民館(ふるさとセンター)で実施しました。今回は夏休みに入ったばかりの土日ということで、都会から学びと交流に出向くスタッフ、参加いただく地域の方々とも、それぞれ関わりごとが重複し、成立するか心配されました。いざ、ふたを開けてみると防災・減災・災害支援などのボランティア活動やパソコン・ネット活用の経験豊富な社会人6名から参加申し込みがあり、事務局を含め7名での活動になりました。
 「PC・ネットよろず相談」プログラムでは、パソコンを操作する、活用する、楽しむ・・・等々に当たっての、さまざまなお困りごとが寄せられ、個人個人のデジタルデバイドに寄り添う活動が中心になりました。腕をあげる、利用範囲を広げる・・・というより、その手前でつまづいていることを解決する場として、本活動を心待ちしている方がおられることを改めて実感。定期的に都会からやってくるこの活動の意味や今後のあり方を考えさせられました。
 「まっさきに学ぶ!」プログラムでは、前回の「避難所運営ゲーム」(HUG)の体験、プラスグループごとの対話というワークショップスタイルのプログラムを継続的に発展すべく、テーマを「熊本地震の現場で起こっていること」に置き換え、被災者の支援、避難生活、復興への難題等、熊本報告を題材に、地域の方々同士が対話し、「まっさきのこれから」や「熊本のこれから」等を意見交換する場を試みましたが、みなさん3.11の重い経験を背負っている関係か、避難所運営ゲームと同様、あの時、自らに起こったことを引き合いに語り合う姿が印象的でした。
 視察プログラムでは、行政だけに頼らず、住民でできることは自分たちでやろう・・と、トレーラーハウスも活用した居住福祉に取り組み始めた長洞元気村を訪問。趣旨、経緯、計画などをうかがいましたが、活動スタッフにも地域の人にも、これからの日本社会を考える上でとても示唆に富むお話でした。そのほか、昨年に続いて碁石小型遊覧船組合の穴通し船に乗船。荒々しい岩肌や隆起、太古から続く地盤と地盤のせめぎ合いを視察や復興のシンボルとして中尊寺から株分けいただいた古代ハスを見学するなど、見る聞く学ぶの2日間でした。

1.活動スタッフ参加者

参加者:7名 (内訳)
  • アソシエイト層(~34歳) 1名
  • リーダー層(35~49歳) 2名
  • シニア層(50歳~) 4名
内訳円グラフ

2.活動場所

活動場所:大船渡市末崎地区公民館
(岩手県大船渡市末崎平林字81)

3.活動スケジュール:2016年7月30日(土)?31日(日)

2016年度第2回「デジタル公民館まっさき」活動 スケジュール

4.7月30日(土) 活動概要

(1) PCネットよろず相談  13:30~16:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 10名/スタッフ参加者 7名)
 参加者は10名、スタッフが7名だったため、Facebookなど共通のテーマについては、スタッフ1人に参加者2名ということもありました。また、メールの文字化け問題など、完全に解決できず、回避策をお伝えしたものもありました。いずれにしてもいまやパソコン・インターネット利用は、日々の暮らしと切り離せないものになっているので、これが使える人と使えない人で発生する生活の質の格差を防ぐ手立てが重要施策になっています。まっさき活動ではそれを先取りしてよろず相談活動を続けてきましたので、引き続きメール、フェイスブック、エクセル、ワードなどの基本的なところでつまづいてそこで止まったままであきらめないようにしたいと思います。本活動では今年度の活動中に公民館スタッフ、参加者、地域におられるトラブル解決に明るい人、エクセルやメールに明るい人など、地元の方にも参画いただき、一緒に活動しながら高め合う、広がり合う地域のパソコンコミュニティづくりに向けてギア・チェンジしたいと思います。また、参加者アンケートの「今後覚えたいこと」として希望が多い、スカイプ、メール、フェイスブック、写真保存・・・などにも取り組んでいきたいと考えてます。
(2) 気仙に学ぶ! 長洞元気村トレーラーハウス視察 16:30~18:00
 PC・ネットよろず相談終了後、活動スタッフ7名と参加者の村上征一西舘地域公民館長、前末崎地区公民館長の近藤均氏の9名で、陸前高田市広田町長洞地区の長洞元気村を訪問。防災集団移転促進事業で整備された長洞元気村の高台移転住宅地の一角に設置されたトレーラーハウスを見学。村上誠二氏(一般社団法人長洞元気村事務局長)から、トレーラーハウス設置の趣旨、経緯、計画などをおうかがいし「行政だけに頼らない・助け合い・支え合い・懐かしい未来づくり・・・」をモットーとする長洞元気村コミュニティの真髄にふれさせていただきました。
 もともとトレーラーハウスは3月まで陸前高田市立第一中学校に設置され、1棟が眼科、1棟が心療内科として岩手県医師会の出張診療施設として使われていたもので3月でお役御免となるのを機会に、岩手県医師会と長洞元気村が交渉して無償貸与契約が成立。熊本地震で手いっぱいだったトレーラー移送業者の手がようやく空いた7月下旬の移動と固定に漕ぎつけた。
 注目されたトレーラーハウスの用途については、視察研修者の受け入れや住民の集会施設ではなく、高齢のため家屋の自力再建を見送り、災害公営住宅に引っ越しした方の住まいとする計画。
 このご高齢世帯は仮設住宅撤去に伴い集団公営住宅に引っ越したものの、知った人もいない公営住宅の暮らしにはなじめず「早く元気村に帰りたい」と懇願。長洞元気村では地域住民全員で見守り支え合おう、と2棟のトレーラーハウスの誘致に動いた。
 計画ではトレーラーハウスをL字型に固定、その中央部にデッキでトレーラーハウスと繋がる家屋を新規に建て増しする。今年中の完成を目標に取り組んでいく、という。
 因みに長洞元気村の高台移転住宅は14区画でトレーラーハウスを設置した区画は、完成後引っ越してくる高齢世帯が確保している区画。14区画とも土地は購入ではなく、将来的な払い下げを視野に市からの賃貸としている。トレーラーハウスの移動・設置固定費は約145万円。追加家屋の建設費・設備費は約450万。村上事務局長は、もともと年齢的に一戸建てを建てるのは厳しい高齢世帯もコミュニティとして一緒に暮らしていけるよう、防災集団住宅地内に一戸建て公営住宅を建設してくれるよう市側に提案したが、集団住宅団地の形態以外、平等性公平性が求められる行政サービスの観点から受入れてもらえなかった。
(大船渡市ではこれが認められ、碁石地区の高台移転住宅地に一戸建ての公営災害住宅が6戸建設されている)
 しかし、たとえイニシャルコストはかかっても中長期的に考えれば、被災前、被災後の仮設住宅暮らしを一貫して一緒に過ごしてきたコミュニティの継続こそ、安心安全な暮らしに有効。コンクリートの災害公営住宅の行く末は、住民が少なくなり廃墟と化し、電気代負担も苦しくなり街灯が次々と消えた奥尻島の災害公営住宅の前例でも明らか、行政の手が及ばないのであれば住民自身で取り組むとし、機会を逸せず、迷わず本計画を実行に移した長洞元気村コミュニティの哲学、決断と実行に一堂、敬服しました。

5.7月31日(日)  活動概要

(1) 早朝視察 6:00-7:00 8:00-8:50
 早朝、碁石海岸小型観光遊覧船組合(大磯正一朗組合長)のお世話で穴通し船に乗船。スタッフ7名、地域の方3名の10名が2隻にわかれ、穴通し磯を往復した。船長曰く、「干潮のうえ、波も穏やか」ということで、めったに近づけない雷岩やなんと乱暴谷にも侵入、ドーンという波と岩のハーモニーを初めて体感。1号艇は大磯船長、2号艇は岩上船長による海からの眺め、岩盤、地層・地形・海藻・かもめの雛などの解説つきでした。太古の昔から続く地層隆起による岸壁のエンブレム満喫しました。
朝食後、碁石地区復興まちづくり協議会会長の大和田東江さんには、復興に向けた被災跡地利用の一環で取り組んでいるハス池、ハス田を案内していただいた。同協議会では平成25年3月、中尊寺から古代ハス14株を株分けしてもらい、山あいの田圃の一角をハス田としてハスを栽培育成。昨年3月、西舘地区三差路の被災跡地を池として整備のうえ、ハス田から株を移設してハス池づくりに取り組んできた。今回視察して山あいのハス田は昨年夏に比べるとややさみしい感じたが、新たに株分けしたハス池は、まだ少ないが見事に芽が伸びつぼみがが育ち、花も開花、トンボや黒モンシロチョウも水面で羽を休めていた。きっと来年の夏には池全体がハスでにぎわい、碁石の夏の風物詩として地域の魅力づくりに貢献することになる。古代ハス咲き乱れる極楽浄土の風景に乞うご期待。
(2) PCネットよろず相談  9:00-12:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者6名/スタッフ参加者7名)
 前日に続くPC・ネットよろず相談には、6名の方に参加いただきました。竹とんぼグループの村上正吉代表と高橋年一副代表も顔を出し、新作のお披露目と翌週の7日に開催する「夏休み親子ものづくり教室」の進行、準備状況、スタッフ体制について打合せした。
(3) まっさきに学ぶ 熊本報告会&対話 13:30~16:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 10名、スタッフ参加者 7名)
 5月活動の避難所運営ゲーム(HUG)に続いて、今回は熊本地震を題材に、地域課題の情報共有と住民同士の対話の実践、対話によるコミュニティづくり、対話の場としての公民館存在意義を考える活動を行った。
 前回に続いてファシリテータには防災士でもある葛西章広さんが担当。話題提供役はまっさき活動の常連でもあり、熊本地震の発災直後から熊本の現場と後方をつなぐ情報支援レスキュー隊活動に従事している上村貴広さんが担当。
 はじめに上村さんから、震度7以上の地震が2回、6弱の地震が3回観測され、長期にわたり余震が続く、断層地震災害の特徴。熊本市、益城町、南阿蘇村などのもともとのまち、工場誘致に伴い形成された新興住宅地、農村地域など、地域による被災内容や課題、対応の違い。夜だけ避難所生活、車中泊、軒先避難などの避難スタイルの多様化複雑化。指定避難施設でない公民館の避難所運営事例。混乱した物資受け入れの実情など、熊本で実際に起こっている状況の報告をいただいた。
 これを受け参加者、スタッフがA・B・Cの3テーブルにわかれて、グループごとに東日本大震災の経験や教訓からの意見、感想、質問などを話し合い、質疑や発表を行った。最後に災害は地震や津波だけでなく、台風、ゲリラ豪雨、突風・竜巻、火事などいろいろある。そして局地的災害の場合、ともすると近隣の住民の中には被災した家のお困りごとの支援や手伝いなどは外部から来たボランティア任せにし、自分たちは見て見ぬふりをして日常生活を続ける様子も見受けられ、地域の助け合い支え合いがなくなっている。
 しかし、何が突然降りかかってきても、近隣住民が助け合い、協力し合う関係づくり、顔のわかるコミュニティづくりが大切であり、それがこれからのまちの価値であること、平常時の訓練やつながりなくして非常時は乗り越えられないので、平常時非常時を通して公民館を地域コミュニティの中核と位置付け、住民同士の対話と連携協力の要であることを確認し終了した。