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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第607号 2019年12月6日発行)by AVCC

無料で学べるKK2Webサイトの動画掲載本数 1,554

なぜ後ろの席から埋まるのか?
~ AI社会に求められる人、教育を考える ~

久保田了司
一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 過日、都内の私立大学工学部で90分の講義を担当させていただきました。学生さんから見れば、ご両親よりも年上の50歳程年長の白髪のおじいさんの話を、どう受け止めるのだろうか?私は悩んだ末、『「行動力」を身につけよう!』と題し、DPPを活用した講義をさせていただきました。
 当日は10:45からの2時限目、私はそわそわと10:00過ぎには教室に入り、集まってくる学生さんを待ちました。ぼちぼちと入ってくる学生さん、後ろの席から順に埋まり、教壇から同心円状にほぼ無人のエリアができ、距離を置いて数十人の学生さんが着席しました。半世紀前の学生時代と同じ光景に接し、なぜ後ろから埋まるのか?それは「受動的な記憶重視の教育」が令和の今も続いているからか?と愕然としました。

 今回の講義で苦心したのは、初対面の講師と学生さんが50歳の年の差を超え硬い雰囲気をどう緩めるか?いわゆるアイスブレイクです。古いアルバムを引っ張り出し50年前の水泳部時代の写真を提示、練習がきつくて授業中いつも寝ていたことを告白、教師に「久保田はいつも寝てばかりいる」と怒られた時、「僕は"スイミン"グクラブですから」と受け答えした話で笑いを取りに行き、見事すべりましたが、多くの学生さんの顔が緩み、雰囲気は少し和みました。
 もう一つ苦心したのは、講師が説明をして学生さんがノートを取る従来のスタイルではなく、Two Way(双方向)講義の組み立てです。KK2やYouTubeの映像を提示し、その内容に関する「設問」を投げかけ、自分自身の行動について考え回答し、講師は回答集計結果に応じた助言・コメントをし、次の「動画+設問」を提示するスタイルです。

KK2コンピテンシー・チェックの動画「アイスホッケーのスターになるために」のイントロ部分(主人公と同じボート部だった高校時代の友人との再会の場面)を再生、今同じ大学で学ぶことになった学友とあなたはどんな人間関係を望むか?を回答してもらいました。基本的に唯一解のない設問にひとり一人が考え回答してもらいました。

 引き続き動画の続き(主人公が練習はきついが試合が面白いアイスホッケーにはまり、二年生でレギュラーを取りに行くという目標を語る場面)を再生、あなたは学生時代に実現したい目標を自覚していますか?に回答してもらいました。自分と全体の回答集計から、「行動力」の原点としての「目標の自覚」を強調しました。

 今回「動画+設問」は7セット用意しましたが、もう少し減らし異なる回答をした学生同士での対話ができれば、より充実した教育になったように思います。講義終了後、3人の学生さんがもう少し話しを聴かせてほしいと寄ってきてくれたのがとてもうれしく思いました。

 スマホで大概の事は調べがつく時代です。学習者がノートを取る教育ではなく、学習者が考え行動することに対して講師はそれを記録し、TeacherというよりはFacilitatorやCoachとしての役割が求められるのではないでしょうか?今回の講義を体験し、AI社会に求められる人財について考え、教育はどうあるべきかを考える、いい機会をいただきました。これからもKK2事業をよろしくお願いします。

■発行元:一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)霞が関ナレッジスクエア事務局
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