超高齢社会:未知の社会への挑戦

超高齢社会:未知の社会への挑戦

収録日2015年6月5日(金)  公開日 2015年6月25日(木)

収録時間

セミナーパンフレット アンケート結果
超高齢社会の現状と日本に求められる社会システムについて解説しています。「介護予防の推進」、「地域ケア体制の整備」を課題とし、千葉県柏市の豊四季台団地地域における取組み「柏プロジェクト」をご紹介します。

※2015年6月5日開催「平成27年度AVCC&KK2特別講演会~地方創生、シニアが主役~(主催:一般財団法人高度映像情報センター)」における講演を収録

超高齢社会:未知の社会への挑戦

INDEX

出演者紹介

  • 辻 哲夫(つじ てつお)氏
    辻 哲夫(つじ てつお)氏 東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授/元厚生労働省 事務次官

    1971年東京大学法学部卒業後、厚生省(当時)に入省。老人福祉課長、国民健康保険課長、大臣官房審議官(医療保険、健康政策担当)、官房長、保険局長、厚生労働事務次官を経て、2008年4月から田園調布学園大学 教授、2009年4月から東京大学高齢社会総合研究機構 教授を務める。現在、東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授。厚生労働省在任中に医療制度改革に携わった。編著書として、「日本の医療制度改革がめざすもの」(時事通信社)「地域包括ケアのすすめ 在宅医療推進のための多職種連携の試み」(東京大学出版会)「超高齢社会 日本のシナリオ」(時評社)等がある。

当日いただいた質問への回答

質問1(参加会場:職場)
昨日、日本創生会議が25年後首都圏では介護・医療の受入れが厳しくなるので、それに備えて地方へ移住することが課題、という発表がされましたが、地方にとっては元気で、役に立つ方が移住してくるのは歓迎でしょうが、そうでない方が介護や医療の受け入先、というのはどうなのでしょう。承服しがたいのでは。地域でずーっと税金払って暮らして年老いた方と、都会に税金を払い続けてきて、突然、年老いて地方に来た人と、どう考えたらよいのでしょう。よい制度設計は可能でしょうか。

回答
本人の真の住み替えの希望によるものでなく、地方の病院や施設が空いているからそちらに移すという発想の政策だとしたら、私は、好ましくないし、実施困難な政策だと思います。お年寄りは物ではありません(ケアや医療の必要な高齢者を送り出す都市部が年寄りの医療やケアにお金をつけて送り出すという案は考えられますが、高齢者はまるで金券扱いとなります。そんな社会が続くとは思えません)。要するに、都市部で、健康寿命をのばす取り組みをしながら、在宅医療を含む地域包括ケア政策を推進し、真に住み切れるまちづくりをすることが至上課題であると考えます。


質問2(参加会場:自宅)
「地域コンシェルジュ」の必要性も役割もわかります。必要な役割だと思います。しかしながら人材がいるのかが不安です。「地域コンシェルジュ」育成計画などはあるのでしょうか?

回答
東大の産学共同研究で人材養成プログラムの開発に取り組みたいと考えています。


質問3
(参加会場:末崎地区公民館)
休憩時間に辻先生のお話を元に、地元に落とし込んで意見交換しております。 柏市の実験的な試みを実際に実践する計画は、国レベルでありますか

回答
柏プロジェクトは、いくつかの点で、国の政策に(結果的に)採用されています。今後ともに国にも提案を続けたいと思います。
(注)「地域包括ケアのすすめ(東大高齢社会研究機構編)」(東京大学出版会)という本が出ていますので、参考にしてください。


質問4
(参加会場:霞が関ナレッジスクエア)
辻先生の推進方向に強く賛同しますが、登場者について性善説前提のように思われます。例えば、コンパクトシティを嫌い、孤立を望み支援も求める人がいると思いますし、チームで医療を担うドクターにも同僚の誤診や誤治療のつけを回されても困るという方がいると思います。このような障害には対策をどうお考えでしょうか? 

回答
基本的には、今後は(専門職の支援も受けつつ)自分のことは自分で決定するという市民側の変容も必要です。したがって、自らが、孤立を望む方については、それもご自分の意思決定であり、その枠内の生き方をされることになります。自己責任で、そのような自由もあって良いと考えています。 

チーム医療については、地区医師会を中心とする、かかりつけ医の普及、かかりつけ医間の信頼関係の醸成等地道な努力により信頼できる医療システムを築いて行くしかありません。(ドクターハンティングといった安易な発想でなく)私たちも、地域で住民とともに生きていこうとするよく信頼できる医師を探す必要があります。

 いずれにせよ、私は、現在の外来しか診ない専門医中心の縦割り医療から、地域のかかりつけ医が在宅医療にかかわる医療システムへの切り替えが、そのような信頼できる医師の養成に繋がると確信しており、その政策の普及に注力しております。国もその方向性の政策を推進しています。