岩手県気仙地域での地域医療実践と復興

岩手県気仙地域での地域医療実践と復興

収録日2015年6月5日(金)  公開日 2015年7月30日(木)

収録時間

セミナーパンフレット アンケート結果
岩手県気仙地区での高齢者に優しい地域医療の実践と3.11東日本大震災後の地域医療再生について解説しています。「医師不足」、「人口構成の変化」を課題とし、住民の積極的な参加を促す自助・共助を目的とした地域医療の取組みをご紹介します。 

※2015年6月5日開催「平成27年度AVCC&KK2特別講演会~地方創生、シニアが主役~(主催:一般財団法人高度映像情報センター)」における講演を収録

岩手県気仙地域での地域医療実践と復興

INDEX

出演者紹介

  • 石木 幹人(いしき みきひと)氏
    石木 幹人(いしき みきひと)氏 岩手県医療局理事/岩手県立高田病院 名誉院長/医師・医学博士

    1947年生まれ。青森県生まれ。早稲田大学理工学部電気通信学科卒業・同大学院を中退後,東北大学医学部に入学。その後,呼吸器外科医となり,1989年からの岩手県立中央病院(盛岡市)を経て、2004年、陸前高田市にある唯一の総合病院、県立高田病院の院長に着任。着任当時の高田病院は、数億の赤字と医師不足に悩まされていたが、地域住民のニーズに応えるべく、「高齢者に優しい病院」をテーマに高齢者医療の充実をはじめ、訪問診療の強化などさまざまな取り組みを重ねて、黒字へと建て直した。高齢者を対象とした地域医療に手応えを感じていた矢先の2011年3月、被災し、9名の職員、15名の患者、病院機能の全て、そして愛妻を失う。震災直後から、住民に寄り添い、地域のための医療を施し続けた医師としての姿、また日本の未来とも言える、高齢者人口の多い地域で取り組んできた医療の実践について、全国から注目が集まっている。

当日いただいた質問への回答

質問1(参加会場:職場)
昨日、日本創生会議が25年後首都圏では介護・医療の受入れが厳しくなるので、それに備えて地方へ移住することが課題、という発表がされましたが、地方にとっては元気で、役に立つ方が移住してくるのは歓迎でしょうが、そうでない方が介護や医療の受け入先、というのはどうなのでしょう。承服しがたいのでは。地域でずーっと税金 払って暮らして年老いた方と、都会に税金を払い続けてきて、突然、年老いて地方に来た人と、どう考えたらよいのでしょう。よい制度設計は可能でしょうか。
回答
どのような地域でも、高齢者が安心して暮らせるまちづくりが、大きな課題です。そのために、多くの地域で工夫を凝らした仕組み作りをしています。それがうまく動くようであれば、他の地域からの移住も歓迎できるようになると思います。ただ、そこまで発展的に地域作りができるところがどれほどあるかは疑問です。自分が住んでいるところで、安心して暮らせる場所を作っていくことが、そこに住む人にとって大事なところです。数合わせではなく、その土地にふさわしい安心の高齢者、障碍者の暮らしを支える仕組みを、そこに住む人たちが考え作っていくことが大切なことだと思います。
質問2(参加会場:霞が関ナレッジスクエア)
陸前高田市高田町在中の佐々木と申します。今年の2月より脳腫瘍の治療のため一時的に東京におります。質問ではないのですが、91歳の祖母が震災前の2010年に高田病院に入院してお世話になりました。大変ありがとうございます。祖母は退院後も元気だったのですが、残念ながら震災の際に自宅で亡くなりましたが、石木先生の地方高齢者医療の重要さを感じました。
回答
ありがとうございます。安心安全な暮らしを支える仕組みを、陸前高田で考えていきます。
質問3(参加会場:自宅)
聞き落してしまいましたので、再度教えてください。陸前高田市の女性の平均寿命が1番になったというお話がありましたが、岩手県内の市町村で1番長寿という結果でしょうか?
回答
その通りです。岩手県内で1位になっています。
質問4(参加会場:自宅)
陸前高田市にはNPOなど民間の運営による「宅老施設」(民家などを有効活用したお泊りサービスなどを行っている施設)は、ありますか?震災前にはありましたか?
回答
陸前高田では、ありません。隣町の住田町では、震災前から、冬季の移住施設があります。宅老所とは意味合いが違いますが、冬季雪に閉ざされる地域の家族を家族ごと移住できるシステムが出来上がっていました。
質問5(参加会場:霞が関ナレッジスクエア)
災害公営住宅は高齢者が多いというのはどこの被災地でも共通の課題であり、医療、介護面では居住地が集約されていることが望ましいですが、近い将来、災害公営住宅の空室が続出することが予想されます。末崎碁石地区では地域コミュニティーを維持し、地域の顔なじみで見守ることを期待して高台集団移転先と同地域に災害公営住宅の戸建てを要望し、市に認めていただきました。これからの集約化された災害公営住宅入居者の包括ケアについてどのようにお考えになっているのでしょうか。
回答
陸前高田市の災害公営住宅は、高齢者の一人、二人生活者が多く入っています。早晩、介護が必要になりますし、その後、施設入居や入院、死亡となっていきます。それに伴い、空き部屋が多くなってきます。中山間部では、限界集落になっているところがあり、そこでも同じように高齢者の一人、二人の生活者が多くなっています。ここでも同じことが起こります。どこの地域でも、要介護者の入所施設が少ないため、入所待ちの状態が続くことになります。施設入所などで空いた部屋は、中山間部の一人、二人暮らしの人たちへ提供していくことがよいと思います。さらに、災害公営住宅をサービス付き高齢者住宅のような運用を考える必要があります。そのために必要なことは、24時間体制の訪問介護、訪問看護、訪問診療、配食サービスが挙げられます。
そのような体制を早く実現していくことが、災害公営住宅の長期にわたる有効活用につながることになります。