『プロの資料作成力』(東洋経済新報社 出版)

『プロの資料作成力』

『プロの資料作成力』(東洋経済新報社 出版) 

出版社:東洋経済新報社
発行:2012/06
定価:1,890円


【目次】
 1.プロフェッショナルの資料に求められるもの
 2.「目的」「ターゲット」「メッセージ」の明確化
 3.資料の構成を考える
 4.情報の質と量を最適化する
 5.ビジュアルオブジェクトのテクニック
 6.ビジュアルエフェクトのテクニック
 7.資料のクオリティを高めるヒント

  • ■ドキュメンテーションの原則をロジカルに解説

     どんな業種・業界であれ、「提案」「報告」「交渉」といったビジネスのやりとりは、基本的に資料や書類を使って行われる。資料や書類の作成は、すべてのビジネスパーソンにとって必須のスキルであり、資料の作り方ひとつでビジネスの成果が変わるといっても過言ではない。実際、提案や交渉する条件が良くても、それを資料にうまく落とし込むことができなかったために、相手に理解されなかったり、アクションを引き出せなかったという例は少なくない。
     本書では、その必須のスキルである「資料や書類を作成すること」(=ドキュメンテーション)の実践的な技術を紹介している。とはいえ単なるノウハウや表面的なテクニックの紹介ではなく、たとえば、資料はわかりやすいことが重要だが、そもそも「わかる」とはどういうことか、「意味」を理解することと「意義」を理解することの違いなど、原則となる「考え方」をロジカルに解いている。

  • ■ドキュメンテーションに不可欠な「おもてなしの心」

     著者によれば、よい資料を作成する上で欠かせないのは「おもてなしの心」である。たとえば「自分はアーティストではないし、大切なのは中身なんだから色にこだわる必要はない」という人がいるが、「おもてなしの心」があるならば、少しでも相手に心地よい体験をしていただくために、どぎつい色や蛍光色を避けて理解を妨げない配色をしたり、相手のコーポレートカラーを使ってみよう、と思うだろう。このような「相手に寄り添う姿勢」は、必ず伝わるものである。  製品やサービスの価格や品質の点で、他社との差別化が難しいようなとき、この「おもてなしの心」は大きな差別化要因となりうる。学校の教科書と予備校のテキストを比較してみると、学習すべき内容自体は同じでも、学生の興味をいかに引きつけ学習効果を上げるかという点では、明らかに予備校のテキストに軍配が上がる。このように相手にどれだけ寄り添っているかは、選ばれる資料の重要な要件となるのである。

  • ◎著者プロフィール

    お茶の水女子大学卒業後、大手アパレル企業を経て、1998年、プライスウォーターハウスコンサルタント(後に日本IBMに統合)入社。現在、日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業部・ラーニング&ナレッジ部門リーダー。プロジェクトマネジメント研修、コアスキル研修、リーダー研修など社内外の研修講師をつとめ、延べ1500人のコンサルタントの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。