『地域再生』 ‐行政に頼らない「むら」おこし-

『地域再生』 ‐行政に頼らない「むら」おこし-

『地域再生』 ‐行政に頼らない「むら」おこし- 

著者:豊重哲郎
出版社:出版企画 あさんてざーな
発行:2004/11
定価:2,000円


【目次】
1.地域おこしのリーダーとして
2.行政の助成金に頼らない地域おこし
3.土着菌の活用
4.情熱の地域づくり
5.異境からの愛のメッセージ
6.「むら」づくりの未来
7.私のリーダー論

  • ■行政に頼らない「むら」おこし

     鹿児島県鹿屋市串良町で生まれ育った著者は、「俺がやらなきゃ誰がやる」の精神で、やねだん(串良町柳谷集落)の「むら」おこしを続けている。やねだんは、約130戸、300人の農村集落。住民の4割が65歳以上で高齢化と過疎化が進んでいる。著者のパワーの源となるのが、様々な体験・失敗に裏付けされたリーダーとしての自信とやねだんの土地や人を愛する気持ち。行政に頼らない「むら」おこしを進めるため、著者は、高校生のクラブ活動に「からいも(さつまいも)栽培」を導入、この活動はやがて集落全体に広がり、年間約80万円の収益をあげるようになる。また、畜産の街串良町では、家畜の悪臭やふん尿に長年悩まされていたが、著者は、微生物である土着菌に注目し、悪臭を解決するばかりか土着菌を自然農業にも挑戦。これがやがて、芋焼酎「やねだん」の製造販売につながっていった。

  • ■リーダー論

     本著では、著者がリーダー像と考える8つの絶対条件があげられている。
    1.重き使命感と実践力 2.百戦錬磨の根性と万人に通用する判断力 3.リーダーは魔法使いではない 4.メディアは最高の友 5.笑顔を基本に汗と涙と感動 6.地域活動の頂点は小・中学校 7.パートナー(仲間)とブレーン(頭脳) 8.リーダーよ、覚悟しろ
    著者は、長年の「むら」おこし活動の中で、リーダーとして活動してきたが、このリーダー論は次世代のリーダーに向けた著者からのメッセージである。過去の歴史を重んじ、現在進行中の活動に満足することなく、未来への展望のポリシーを自ら創出することのできる後継者を育成することが、最大の夢であり責任であると語る著者の様々な体験や考え方は、既にリーダーになっている人、これからリーダーになる人には多いに参考になるはずである。

  • ◎著者プロフィール

    1960年 鹿児島県立串良商業高等学校卒業、同年東京都民銀行に入社し上京。1971年 地元に戻りうなぎ養殖を始める。1979年~97年 串良町上小原校区公民館長。1981年 うなぎ専門店「うなぎの川豊」創業。1996年やねだん(串良町柳谷集落)自治公民館長となって以降、「行政に頼らない村づくり」をめざしアイデアあふれる地域再生活動を実践。地域再生の立役者として注目を集めている。豊重さん出演のエキスパート・スタジオはこちらからご覧下さい。