『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』(ジェレミー・ドノバン 著/中西 真雄美 訳)

『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』

『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』(ジェレミー・ドノバン 著/中西 真雄美 訳) 

著 者:ジェレミー・ドノバン
訳 者:中西 真雄美
出版社:新潮社
発 行:2013/07
定 価: 1,260円


【目次】
 1.内容・ストーリー・構成
 2.伝え方とスライドデザイン

  • ■優れた講演動画で使われている聴衆の心をつかむプレゼン技法とは

     講演・プレゼンテーションの動画を配信するサイト「TEDトーク」が世界中で注目を集めている。非営利組織「TED」が運営するサービスで、有名無名問わずさまざまな分野の人々によるTechnology、Entertainment、Designの3分野(TEDは3つの頭文字をとったもの)をテーマとした優れたプレゼンを視聴することができる。本書では、その動画の多くで用いられているプレゼン技法を具体的に解説、指南している。
     スピーチにおいて聴衆の心を動かすには、まず、一人ひとりが聴き終わった後に、それまでの考え方を変えたり、あるいは行動を起こす意欲が湧いたりするなど、聴衆の心にインスピレーションを与えることを目標とする。そのうえで、自分のこれまでの経験で印象に残った、あるいは教訓を得たエピソードから、スピーチのメインテーマとなるトピックを選ぶ。そして、ストーリーと事実を組み合わせながら内容を組み立てていく。

  • ■聴き手と話し手が一緒に追体験できるようなストーリーを

     スピーチの中核となるストーリーは、話し手自身に関するものにすべきである。会話をふんだんに盛り込み、聴き手と話し手が一緒にその内容を追体験できるような、具体的なものにしていく。このときやってはいけないのは、話し手自身をヒーローにすること。話し手は聴衆より優位に立ってはいけない。別の人物を主人公にして、話し手自身は聴衆と同じ立場、あるいはガイド役に徹することだ。
     ストーリーは客観的である必要はない。主観的視点から情熱的に語られたほうが、人の心は動くものである。また、うまく問題が解決して終わるハッピーエンドのほうが「私にもできる」と、聴衆をインスパイアすることができる。人々は信頼できる話し手と信憑性のあるストーリーと同時に、聴いていて楽しくなる話し手やストーリーを求めているのだ。もし悲劇的な結末のストーリーを語るならば、「どうすれば悲劇を避けられたか」のような教訓を得られる話で締めたほうがいいだろう。

  • ◎著者プロフィール

    米国コネチカット州スタンフォードに本拠を置くIT分野のリサーチ・アドバイザリ企業、ガートナー社(Gartner)のマーケティング担当副社長。TEDx(TEDの精神である、広める価値のあるアイデアを共有するための地域コミュニティ)イベントのオーガナイザーであり、講演家でもある。トーストマスターズ・インターナショナルのメンバー。著書に『What Great Looks Like: Leadership Best Practices for General Managers』(未邦訳)がある。