『偏差値37なのに就職率9割の大学』 (堀口 英則 著)

『偏差値37なのに就職率9割の大学』

『偏差値37なのに就職率9割の大学』 (堀口 英則 著) 

著 者:堀口 英則
出版社:メディアファクトリー
発 行:2013/10
定 価:882円


【目次】
 1.どうしようもない大学だった
 2.ますます狭まる「狭き門」
 3.改革、発進
 4.学生を選べる大学に
 5.「訓練」は半年
 6.人生は変えられる

  • ■金沢星稜大学の就職対策を中心とした10年間の改革の道のりを振り返る

     石川県金沢市に、この10年間の改革によって驚異的な就職実績を上げるようになった私立大学がある。それが金沢星稜大学だ。同大学の入学偏差値は37(2012年河合塾データ)。しかしここ5年間の就職率(就職者数/卒業者数)は90%前後で推移しているという。これは全国平均より30ポイント近く高い数値だ。しかも上場企業就職者や公務員試験合格者も増えている。本書は、2003年に同大学に赴任した就職担当職員が、どのようにしてこの大学改革を成功に導いたかを自ら語ったものである。
     2003年3月の就職率は66.6%。まずまずの数字だが、経済系の大学でありながら金融・会計系で内定を取る学生がほとんどおらず、公務員はゼロだった。入学者数は定員割れが続き、低学力で無気力な学生が大半を占めていた。当然のごとく就職に前向きに取り組む学生はわずか。しかし著者の堀口さんは、そんな状況からの大逆転を目指す決意をする。

  • ■スパルタ式にマナーや身だしなみを指導することで学生の自信を高める

     堀口さんはまず就職活動をする学生の意識を変えることから始めた。スパルタ式に身だしなみやマナーを厳しく指導する。それは学内合同説明会に「Barber星稜」と称する男子の整髪コーナーを設けるほどの力の入れようだった。そして「打席数を増やして逆転ホームランを打つ」ために、大企業・有名企業にも果敢に挑戦させる。これらは学生たちの「自信を高める」ことを目指したものだった。
     就職対策だけでなく、中身や入口の改革にも着手した。その一つが2005年からスタートした「CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)」。公務員受験講座をカリキュラムに組み込んだもので、その受講を条件にした「特待生入試」制度も設けた。また、優秀な女子学生を増やすためにしっかりとした3科目の学科試験を実施するよう働きかけた。これらは後に、特待生や女子学生が就職においても実績を上げ、他の学生を引っ張り上げることにつながった。

  • ◎著者プロフィール

    金沢星稜大学進路支援センター長。1960年石川県加賀市生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、リクルートで大手企業の新卒採用広報を支援する広報企画部営業マンとして活躍したのち、地元・北陸の大学を経て2003年、金沢星稜大学で課員1人の就職課長に就任。マナー・身だしなみをスパルタで徹底、「短く・濃い就活」をモットーに洋上で6泊7日の就職合宿を行うなど、ユニークな就職指導を行う。