『「シニア起業」で成功する人・しない人』 (片桐 実央 著)

『「シニア起業」で成功する人・しない人』 ‐定年後は、社会と繋がり、経験を活かす

『「シニア起業」で成功する人・しない人』 (片桐 実央 著) 

著 者:片桐 実央
出版社:講談社
発 行:2013/04
定 価:880円


【目次】
 1.私にも起業はできる?
 2.起業までの下準備、カギは「やりたいこと重視」
 3.「やりがいのある起業」に向けての進め方
 4.成功のためのシニア起業の実践法
 5.成功するシニア起業家はここがちがう
 6.シニア起業は優遇。行政の制度を積極活用!

  • ■80%以上の人が65歳になっても働きたいと考えている

     シニア層の就労状況には大きな矛盾がある。60~64歳で就業している人は2人に1人、さらに65~69歳になると3人に1人しか働いていない。しかし、80%以上の人が65歳以降も働きたいと考えているというデータもあるように、実はシニア層の就業意欲は高いのである。60歳で「隠居」というのは昔の感覚。現代の60代は気力・体力ともに現役そのもので、しかも仕事に必要な経験は豊かである。一方、年金の支給開始年齢は引き上げられ、定年退職後の再雇用についても、「この程度の給料なら、会社に縛られずに自分の好きなことをやりたい」と考える人も多い。そうしたことから、50~60代の起業家が急増している。
     本書では、50~60代の定年前後での起業を支援する会社「銀座セカンドライフ株式会社」の代表である著者が、第2の人生をより豊かにするシニア起業を成功させるために必要な、下準備から事業計画の作成、行政の優遇制度の活用法までを具体的にアドバイスしている。

  • ■シニア起業を成功させるための3つのポイント

     シニア起業家が展開する事業内容は、(1)「好きなこと、やりたいこと」で、(2)他人に比べて「得意なこと、できること」、かつ(3)「お金になる、市場性がある」ものであるべき。この3つが重なるところをビジネスにすると成功の確率が高くなる。
     例えば、絵本の読み聞かせ教室を開催している男性は、公務員として公共のホール運営に従事し、60歳近くになったとき、絵本の読み聞かせボランティアに応募。やってみると青年時代に志していた舞台俳優の頃を思い出し、楽しくなった。この仕事で起業することを考え、専門の指導員について勉強し直すとともに、子どもたちからの評価を数値データ化し、起業後は決定権がある先生への説得に活用。横のつながりがある幼稚園から続々と声がかかり、「セカンドライフはこの道で」と張り切っている。
     このように、これからは定年退職を機にリタイアするのではなく、人生の集大成として、夢を実現するため、第2の人生をスタートさせる人がますます増えるのではないかと著者は話す。

  • ◎著者プロフィール

    銀座セカンドライフ株式会社代表取締役。1980年、千葉県生まれ。学習院大学法学部卒業後、花王株式会社法務・コンプライアンス部門法務部、大和証券SMBC株式会社を経て、2008年に銀座セカンドライフ株式会社を設立。定年前後での起業支援会社として、起業相談のほか、レンタルオフィス運営、毎月100名が集まる起業家交流会を開催している。