『アース ミュージック&エコロジーの経営学』 (石川 康晴 著)

『アース ミュージック&エコロジーの経営学』

『アース ミュージック&エコロジーの経営学』 (石川 康晴 著) 

著 者:石川 康晴
出版社:日経BP社
発 行:2013/12
定 価:1,575円


【目次】
 序.宮﨑あおいはなぜうたったか
 1.たとえ回り道でもまず社員力を高める
 2.お説教は無意味! 売る仕組みを磨く
 3.テレビCMと全体戦略をつなげる
 4.経済成長と社会貢献のバランス
 対談.ストーリーとしてのクロスカンパニー戦略

  • ■若い女性に絶大な人気を誇るファッション・ブランド大躍進の要因を探る

     「アース ミュージック&エコロジー」は、20代・30代の女性を中心に絶大なる人気を博しているカジュアル衣料ブランドだ。そのブランドを主力として展開する衣料品SPA(製造小売業)「クロスカンパニー」は、10年間で約22倍の売上アップという驚異的な成長を成し遂げた。本書では、同社の創業社長・石川康晴氏への取材と同氏自身の解説により、急成長の要因となった、ユニークな経営手法・経営哲学を紹介している。
     クロスカンパニーが躍進するきっかけになったのは、2010年から放映開始されたブランドのテレビCMだ。清純派で大人しいイメージのあった女優・宮﨑あおいが歌い飛び跳ねるこのCMは話題を呼び、ブランドの知名度を一気に引き上げた。そして、CM放映と同時にウェブサイトへ誘導する仕組みをつくり、さらに店舗のレイアウトや接客もそれに合わせて準備。CMから店舗までの流れを作るクロスメディア戦略が効を奏したのである。

  • ■全員正社員、9割以上の女性社員への配慮など「社員のため」の経営を実践

     石川社長がテレビCM展開を決断したのは「社員のため」だった。社員の父母や祖父母、親戚などがCMを見たことを話題にして社員を激励する。そのことがモチベーションアップになると考えたのだ。
     このような、石川社長の社員を大切にしそのつながりを重視する姿勢は、同社の経営の隅々にまで浸透している。たとえば、同社の社員は全員正社員だ。これはアパレルでは異例のこと。しかし石川社長は「スタッフにブランドへの愛着と深い商品知識がなければお客様を満足させることはできない」という信念から、正社員にこだわってきた。また、社員の9割以上を占める女性に対しても出産や育児などに配慮した制度をきめ細かに用意している。
     さらに3000人以上が参加する社内の販売コンテストや、無駄な業務を削減するプロジェクトなどを実施し「働きやすさ」を追求。店舗のレイアウトを科学的根拠をもとに見直すなど、さまざまな挑戦が同社を成功に導いたのだ。

  • ◎著者プロフィール

    株式会社クロスカンパニー代表取締役社長。1970年岡山市生まれ。1994年、岡山市内にわずか4坪のセレクトショップ「CROSS FEMME」を開業。1995年にクロスカンパニーを設立。1999年にSPA(製造小売業)へと組織転換し、業績をさらに伸ばす。同社創業20年目にあたる2014年1月期の売上高は1000億円超に達する見込みという。