『僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか』 (リヴァ・フロイモビッチ 著)

『僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか』

『僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか』 (リヴァ・フロイモビッチ 著) 

著 者:リヴァ・フロイモビッチ
訳 者:山田 美明
出版社:阪急コミュニケーションズ
発 行:2014/02
定 価:1,700円(税別)


【目次】
プロローグ アメリカンドリーム
序.豊かな生活の終わり
1.金融危機後のアメリカの若者たち
2.アメリカより深刻なヨーロッパ
3.Y世代に不利な労働市場
4.すでに頭脳流出は始まっている
5.新興国に希望は見つかるか
6.赤字削減か経済成長かという選択
7.政府予算の正しい使い道
8.自分の力で苦境を脱するには
終.これからどうする?

  • ■低賃金、失業、借金などに苦しむ「Y世代」たちの実状を徹底リポート

     現在、アメリカを筆頭に世界中の先進国における「Y世代(1976~2000年生まれ)」が低賃金、非正規雇用、失業、借金などに苦しめられている。本書では、そんな将来への希望を失いかけている若者たちの実状をリポート。また、そうした状況をもたらした社会構造の分析を行うとともに、Y世代の未来の可能性を探っている。
     アメリカの若者を苦しめる低賃金や不安定な雇用は、新興国の攻勢に対抗しなくてはならない企業の都合によってもたらされた。それに加え、エネルギーや食料の価格が上昇し、生活のコストが高騰している。余裕がなくなったアメリカのY世代にとって、「アメリカンドリーム」はとても実現できないものとなってしまっている。
     状況は他の先進国でも同様だが、困難に直面している若者たちに対する政府の施策に期待することも難しい。高齢化により有権者の多くの割合を上の世代が占めているため、若者対策は後回しにされがちなのだ。

  • ■高騰する大学の学費のための学資ローンの返済がアメリカの若者を悩ませる

     とりわけアメリカのY世代をめぐる大問題は「大学教育」だ。産業構造の変化により、まともな職に就くためには大学卒の職が必須。しかし、大学の学費の平均額はこの30年間で3倍近くまで高騰している。高い学費を払うために、アメリカの大学生の多くは学資ローンを利用する。その結果彼らは、社会人になった後に返済に苦しむことになるのだ。低賃金に甘んじていたり、失業したりすれば滞納金がかさんでいく。
     政府による施策に期待できない以上、Y世代は自力で這い上がる道を探すしかない。生まれた時から家にコンピュータがあり、最新のテクノロジーを使いこなすことができたり、グローバル社会でのコミュニケーションに慣れている、といった優位性を活用し、起業などのチャレンジを続けていくべきだろう。また、固定観念を捨て、上の世代とは異なるかたちの「豊かさ」を見つけていくべき、といったことを、自身もY世代である著者は提言している。

  • ◎著者プロフィール

    ジャーナリスト。両親はウクライナ出身で、より良い生活を求めてアメリカに移住し、アメリカンドリームを成し遂げた。リヴァはニューヨークで育ち、ニューヨーク大学でジャーナリズムの学士号を取得。主にウォール・ストリート・ジャーナル紙やダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズに執筆してきた。TV記者でもあり、フォックス・ビジネスニュース、BBC、スカイTVに出演。本書執筆時は28歳で「Y世代」の一員である。