『GE世界基準の仕事術』(安渕 聖司著)

『GE世界基準の仕事術』

『GE世界基準の仕事術』(安渕 聖司著) 

著 者:安渕 聖司
出版社:新潮社
発 行:2014/03
定 価:1,400円(税別)


【目次】
1.「すべてに驚いた」GEとの出会い
2.聖域を設けることのない「経営」
3.全員に求められる「リーダーシップ」
4.明確な基準が設けられている「評価」
5.経営トップもコミットする「人材育成」
6.GEが独自に作った「仕組み」
7.心地良く働けるための「カルチャー」づくり
8.CEOの仕事と「クライシス」への対応
9.グローバルな舞台で成功するために

  • ■GE日本法人のCEOが体験し実感した「GEの強さの秘密」

     次々に押し寄せる時代の荒波に飲まれ、あえなく沈んでいった大企業が多い中で、120年以上にわたって「巨人」であり続け、世界最大のコングロマリットとしていまだに成長を続けるGE。その強さの秘密はどこにあるのか? 本書は、50歳で入社後、短期間でGE日本法人の代表取締役となった著者が体験し、実感した「GEの強さの秘密」を明らかにする。
     著者がGEに入社してまず驚いたのは、経営トップが抱いている「人を育てることに対する熱意」の強さだった。ウェルチ研修センターで行われるリーダーシップ・プログラムには、現CEOのジェフ・イメルトが毎週のように顔を出す。ただ見学するためではない。イメルトはプログラムにおいて、自ら具体的なビジネス課題を出し、発表の場で鋭い質問を次々と浴びせてくる。イメルトは、社員の育成・評価に、自身の時間の実に30%以上を使っている。

  • ■変化に柔軟に対応し、たとえ看板事業であっても大胆に整理する

     GEは「巨人」でありながら、常に柔軟に事業構造を見直し、場合によってはたとえ看板事業であっても大胆に整理する。その典型例がプラスチックス事業だ。もともとプラスチックスのコストは原料の原油価格に左右されるものだが、昨今のように原油が高騰してくると、転嫁にも限界がある。自分たちでコントロールできないものはGEのビジネスではないと判断し、SABIC(サウジ基礎産業公社)に売却したのである。プラスチックス事業は、巨額の売り上げを誇るGEの代表的な事業だった。何よりもジェフ・イメルトをはじめ、経営幹部の多くがプラスチックス事業育ちでもあった。
     しかし、そんなことにGEは頓着しない。一番強いものが生き残るわけではなく、変化できるものだけが生き残っていく、というポリシーを貫いているのだ。《GEには「平時」などない、自分たちが立ち止まってしまったら、他社が先に行ってしまうからだ》と著者は書いている。この危機感こそがGEの強みなのである。

  • ◎著者プロフィール

    1979年、早稲田大学政治経済学部卒業後、三菱商事入社。90年ハーバード・ビジネススクールMBA修了。UBS証券会社などを経て2006年、GEコマーシャル・ファイナンスにアジア地域事業開発担当副社長として入社。07年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEOに就任。現在、GEの日本法人である日本GE株式会社代表取締役および同社の社内カンパニーGEキャピタルの社長兼CEO。