『左ハンドル国産車が日本を救う』  -日本経済V字再生のための国富戦略シミュレーション(小森 正智/小森 正隆 著)

『左ハンドル国産車が日本を救う』  -日本経済V字再生のための国富戦略シミュレーション

『左ハンドル国産車が日本を救う』  -日本経済V字再生のための国富戦略シミュレーション(小森 正智/小森 正隆 著) 

著 者:小森 正智/小森 正隆
出版社:プレジデント社
発 行:2014/11
定 価:1,500円(税別)


【目次】
序.グローバル化が進む中での日本の現在位置
1.自動車王国ジパング(黄金の国)への道
2.左側通行なら右ハンドルという安全神話
3.グローバル化時代の国富戦略
4.自動車の生涯価値を再考する
5.世界のCO2排出削減に貢献する
6.自動車メーカーへの提言
7.日本国民への提言

  • ■成長戦略の決定打となりうる「左ハンドル国産車」の規制緩和を提言

     低迷する日本経済を再生させるための決定打となるような成長戦略は、いまだ描けているとは言い難い。本書は、その決定打となる可能性もある「左ハンドル国産車の国内流通」という規制緩和を提言。そのメリットと成功可能性を探っている。
     日本の国富戦略のポイントの一つに、基幹産業である自動車産業の国内需要拡大が挙げられる。そのためには、新車への買い換えを促進しなければならない。そこで世界の中古車市場に着目。新車代替によって生まれる中古車が海外で売れれば、国内での下取り価格が上がり、買い換えが進むはずだ。
     しかし、世界では「車は右側通行、左ハンドル」が主流。一方現在、日本国内を走行する国産の一般車両は、ほぼすべて「右ハンドル」だ。国内メーカーによる国内販売用の左ハンドル車の生産・販売が許可されていないからだ。現状、日本から輸出した中古車は現地で改造が行われているが、品質や安全性に問題がある。

  • ■新車ではなく中古車の需要が高いアフリカ市場に「左ハンドル車」を

     問題は「国産車の左右ハンドル選択自由」という規制緩和が行われれば解決する。海外における日本車の中古車の評価は高い。日本人は、厳しい車検制度のもと、ていねいな運転で世界一きれいに車を乗りこなすからだ。
     とくにこれから注目されるのがアフリカ市場だ。貧困層が多いアフリカでは、新車を大量に買ってもらうのは難しい。だが、中古車ならば手が届く。これから発展が見込まれ、自動車の需要がますます高まるアフリカ市場には、国産中古車の大量輸出が見込まれる。
     「左側通行で左ハンドル車は危険ではないのか」という懸念もあろう。しかし、「左側通行には右ハンドル」という考え方は、100年以上前の道路状況を踏まえたものだ。実際には、この100年で左右ハンドル車の事故率の差は見られない。右折時や追い越しの時に視野が限られるということはあるが、かえって心理リミッターが働き用心するようになる、と著者は主張している。

  • ◎著者プロフィール

    小森 正智:東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻医学博士課程在籍。1986年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻修士課程修了。
    小森 正隆:元経営コンサルタント。学習院大学経済学部卒。1982年(株)日本能率協会コンサルティング入社、2011年退社。輸入車の国内チャネル戦略、マーケティング戦略、戦略実践研修体系立案などを実施。国産自動車メーカーではCI戦略、カレッジ方式の長期研修企画を行った。