『起業で本当に成功するために大切なこと』(進藤 晶弘 著)

『起業で本当に成功するために大切なこと』

『起業で本当に成功するために大切なこと』(進藤 晶弘 著) 

 者:進藤 晶弘
出版社:日本経済新聞出版社
発 行:2015/04
定 価:1,800円(税別)


【目次】
1.起業に向く人、大企業に向く人
2.ベンチャーと大企業の経営、その本質的な違い
3.最難所「立ち上げから3年」を乗り越えるために
4.襲い来る困難、既存勢力からの圧力を跳ね返す
5.持てる資産は「人材」だけ
6.「ベンチャー」が行き詰まるとき -成功体験からの脱皮
7.小が大に勝つための戦略
8.株式上場は、ゴーイング・コンサーンへの第一歩
9.リーダーを見抜く、後進を育てる
10.成長に耐えられるマネジメント体制をつくる
11.先の見えない時代に「決断する」ということ

  • ■50歳を目前にして起業を成功させた経験からアドバイス

     大企業のサラリーマンだった著者は、50歳を目前にして会社を辞めてベンチャー企業を立ち上げた。残りの社会人人生を考えるとあり得ない決断だったが、安定を捨てても実現したい事業があったからだ。起業すると、失敗して大きな損失を被る可能性もあり、成功するまでにも大変な苦労があるが、それでも挑戦したいという思いこそが、起業を成功させる原動力なのである。本書は、著者の経験に基づき、起業家の資質や、事業の立ち上げ時に必要なこと、上場への道のりや必要な人材などの具体的な知恵を紹介している。
     優秀な人材には、仕事を効率的に処理して利益をもたらすマネジメントスキルを発揮するタイプと、前例のない事業や社会に変革をもたらす起業家精神を持つタイプがある。マネジメントスキルを「怜悧な頭脳」とすれば、起業家精神は「熱い心」そのものである。起業家の原動力は、成すべきことを構想する力と実現しようとする強烈な意思なのだ。

  • ■ベンチャーは常識とは反対の方向に成功への道がある!

     著者がベンチャー企業を創業しようと決意したのは、それまでの日本の半導体産業が生産設備に巨額投資を行うことしかせず、それでは行き詰まると確信したからだ。そこで、あらゆる経営資源を研究開発に集中させて、機器を作る人たちのニーズに合わせてシステムを開発し、生産は外部委託するファブレスビジネスモデルを実現しようとした。当時、世間からは、「工場を持たない半導体事業などは確実に失敗する」と言われたが、時代の変化は予測した方向に流れ、創業した会社は半導体産業の中で異色な地位のベンチャーに成長することができた。
     このように、「皆が認めないことや誰もやっていないこと」を最初に行うのが起業家である。ベンチャーは、皆が進む方向には小さな成功しか期待できないが、反対の方向には大きな成功が待っている。既存勢力との違いを追求して新たなポジションを築くか、他人とは違う視点で考え、常識・慣習を破り、効率を劇的に改善することが大切なのだ。

  • ◎著者プロフィール

    メガチップス会長。1941年生まれ。愛媛大学工学部卒業。三菱電機入社。MOSIC製造部部長代理を務め1979年同社を退職、リコー入社。同社半導体研究所所長などを務め、90年退職。同年メガチップス創業。98年株式公開(店頭登録)、2000年東証1部上場。1998年メガフュージョン(後にメガチップス子会社)を創業し、2001年上場。インキュベーションセンターの開設など、起業家教育にも力を入れてきた。