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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第701号 2021年10月1日発行)by AVCC

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天災は忘れた頃にやってくる ⇒ 天災は忘れる前にやってくる

久保田了司
一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉は、物理学者で随筆家の寺田寅彦が昭和初期に唱えたと言われています。しかし2011年3.11東日本大震災・原発事故発生から10年経ち、世界では立て続けに自然災害や人災が発生しています。とりわけこの一年と九ヶ月の間は「COVID-19パンデミック」に翻弄され、緊急事態宣言解除後も、第六波は必ず起こり今後2~3年は予断を許さない状況が続くと言われています。

 「天災は忘れる前にやってくる」ようになったのは、人間の自然に対する理解があまりに乏しく、にも拘わらずその自然を我が物のように乱暴にもいじくりまわすことに因ると、私は愚考します。3.11東日本大震災を引き起こした地殻変動は、宮城県牡鹿半島200kmほど沖の海底で、幅約55km、長さ160kmにわたって南東方向に55mもずれていたと伝えられました(東京大学地震研究所)。自然のエネルギーは浅はかな人間の考えを遥かに凌ぎ、人間のなせることの微々たることを思い知りました。また原発事故は人災の最たるもの、この年の夏、電力不足が叫ばれ企業や一般家庭は計画停電に追い込まれたものの、CO2削減に逆行する火力発電所の増設等により、のど元過ぎれば熱さを忘れ、人間は、もう一度身の回りを見直す良い機会を逃してしまいました。


写真:マツムシソウ(花言葉:喪失・再起  2021/9/19 飯盛山山頂付近筆者撮影)

 昨今の様々な社会問題、地球温暖化、サプライチェーンの破綻等々起きていますが、すべて人間が自ら引き起こした人災と言えます。「天災は忘れる前にやってくる」と考えると息苦しくなりますが、私たちは一人で天災に立ち向かうわけではありません。社会の中で人間は、誰もが知らずに誰かに支えられています。誰もが知らずに他者や自然を傷つけています。そのことに思いを馳せることが大切です。私たちは、目の前の現実と理想の自分を比べ、そのギャップに悩んでしまいがちです。そんな私たちにとって「他と比べる必要はない」、「今、目の前こそ最高だ」と、前向きに生きる指針を与えてくれる言葉が、霞が関坐禅会柴田文啓住職に学んだ白隠禅師坐禅和讃の一節「当処即蓮華国」です。「天災は忘れる前にやってくる」現実に向き合い、今、此処、自分が最良だと心から思うことで、アンチフラジャイルな人生を送りたいものです。生きる道には、晴れがあれば雨もあります。今起きていることを素直に受け入れ、置かれた状態で最善を尽くす、生かされて生きていることに感謝しましょう。

■発行元:一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)霞が関ナレッジスクエア事務局
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