雲を突き抜けたその先に、青空が広がっています
|
久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア（KK2）代表
|
暑かった夏、短い秋、そして一挙に冬の到来を予感させる季節となりました。気候の変わり目、皆さまには身心共に健やかに過ごされますよう心よりお祈り申し上げます。
日々のロシアのウクライナ侵攻を伝えるニュース映像に接し、第三次世界大戦が避けられないのではないか。否、既に第三次世界大戦なのではないか。核兵器により人間社会が壊滅になりはしないか。「言い知れぬ不安」で心の中は厚い雲に覆われています。私事ですが、不安や悩みがある時には、権現岳の頂を目指し登り始めます。入院とコロナ禍での行動量減が重なり頂上までなかなか辿り着けませんが、喘ぎ喘ぎ稜線まで上がると目の前に広がる雲海や山々に不安や悩みは払拭され、今日まで生かしていただいたことに対する感謝の念が湧いてきます。また数年前より書のお稽古を始めましたが、墨を摺る香りで不安が頭から消え心が穏やかに書をたしなむことができるようになりました。
著者拙影「権現岳から望む南アルプス」拙筆「雲外蒼天」
物価高・円安・アフターコロナ等の影響でわが国の経済状況は深刻さを増し、日本社会は厚い雲に覆われています。10月3日第210回臨時国会が召集され、岸田文雄首相は所信表明の中で、成長分野への人材の移動を目的とする個人のリスキリング（学び直し）支援に5年で1兆円を投じると表明しました。30余年放置してきた約7,000万人のリスキリングを、国家予算（約100兆円）の0.2%の年間2,000億円で賄えるものなのか？心配ではありますが、やるなら今しかありません。平成の世では、日本の働く人の学び直しが滞り働く人の収入は増えないどころか逓減してきました。見方を変えれば働く人の能力低下（学習不足）が続いてきたと言えます。
KK2は2008年の創設以来、ささやかではありますが働く人のしごと力向上を提唱し、学びの格差を解消する何時でもどこでも誰でも学べる環境を提供してきました。これからも、自ら考え行動するデジタル人材を育み、人間と自然が調和し、リアル空間とバーチャル空間が高度に融合したデジタル社会の深化とValuableなコミュニケーション・教育訓練の社会実装を支援してまいります。
『雲外蒼天』とは、「努力して苦しみを乗り越えればすばらしい世界が待っている」という意味です。「雲を突き抜けたその先には青空が広がっている」という思いでしたためました。
|
