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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第762号 2022年12月2日発行)by AVCC

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誰も置き去りにしないデジタル社会へ

久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 今年もとうとう最終の月を迎えてしまいました。来年こそ戦禍の無い安心社会が到来することを切に祈ります。過日わが国の歴史を振り返り、江戸時代後半から明治維新へ、Society 2.0農耕社会からSociety 3.0工業社会への変革期に、日本各地で「寺子屋・私塾」が設けられ、士農工商の身分を問わず子供や若者の学びの場が展開されたことを学び、先人に畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。


全国で数万か所の寺子屋が活動していた(江戸時代後期)

 読み書き計算能力が生活の豊かさを左右することから、地域毎に名主・僧侶・医師・神官・武士らが主宰し、読み書き算盤はもとよりその時代に広まった考え方・常識を共有し、人としてどうあるべきか考え自分のためでなく他人のために行動する気持ちを養ったとされます。太平の眠りを覚ます「黒船来航」等諸外国の脅威に見舞われる中で、わが国が独立国家として安全保障を確保できたのは、寺子屋で培われたリテラシーによりレジリエントな地域社会が築かれ、身分を問わない「学び合い」という土壌が工業社会への急速な近代化を支える人材を供給する社会の底力となったと言っても良いでしょう。

 然るに昨今、政府がSociety5.0(KK2はデジタル社会と名付けています)を提唱していますが、あなたはSociety5.0を体現できていますか?私は残念ながらできていません。それ以前にデジタル社会についての啓蒙教育が疎かになっており、人々のデジタルリテラシーが低くデジタルデバイドが拡大しています。デジタル変革(DX)も進まず、COVID-19パンデミックやロシアのウクライナ侵攻勃発等、新たな「黒船来航」でわが国は右往左往しています。


寺子屋に習い「読み書きデジタル」を学び合うデジタル公民館活動

 私たちは読み書き算盤を「読み書きデジタル」に持ち替え、先人の営んだ寺子屋を現代に継承するデジタル公民館®活動を職場・地域・学校といったコミュニティ単位で進めることを提唱しています。テストでいい点を取るための教育は格差を助長しコミュニティの分断を招きます。誰も置き去りにしないデジタル社会は、コミュニティの中で世代を超えた学び合いを実現し、高齢者や生きにくさを抱えるデジタル弱者をデジタルが得意な若者が支えるように、自分が得意なことを周りの人と分かち合う中で営まれるものです。外部からの出前講義を聴いて実現するものではありません。

 KK2では、自分自身及び自分自身が所属するコミュニティの強み弱みを知る為に、デジタル社会に参加する力を測るDKC(デジタル活用力チェック)に続き、自ら考え行動するデジタル人材を測るDSC(デジタルしごと力チェック)の試行をスタートしました。デジタルといっても非常に幅広く多岐に亘り且つ日々進化していきますので、次のA~Fの普遍的なチェック項目で構成しました。A.データ活用力、B.デジタル情報発信力、C.リモートワーク力、D.デジタル人間関係力、E.デジタル問題解決力、F.デジタル行動力。私たちには学識経験者による委員会を開く力量も予算もありませんので、AVCC職員有志で自分たちの日々のしごとをベースに纏めました。デジタル社会では社会の営みをデータ化し課題解決を図ることが極めて重要ですので、A.データ活用力を第一に取り上げています。まずはチェックすることから、学びをはじめてみてください。間違いや不備もあろうかと思いますが、チェックを受けていただいた方々のご意見を得てブラッシュアップしていきます。正解を求めて正解が得られず何もしないより、出来ることから行動することを選び、ささやかですが誰も置き去りにしないデジタル社会へ踏み出しました。皆さまのご支援よろしくお願い申し上げます。

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