2月公表「DX白書2023」からトランスフォーメーション、リスキリングを考える
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伊藤健二
KK2産学官連携主席研究員
三幸学園 理事長特別補佐(戦略担当)
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「DX白書2023」が、情報処理推進機構(IPA)から2月9日に公表されました。日米企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の動向を比較調査した報告書で、『進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」』というサブタイトルになっています。
DXに関する国内の課題としては、「トランスフォーメーションが進まない」とされています。皆さまにとっては、業種比較、企業規模別比較、地域比較もありますが、どういった点が気になりますでしょうか。366ページにも及ぶ報告書ですが、関連するキーワード等で検索、確認頂くのは如何でしょうか。もしくは、社内の関係者と互いに気になる点などを話し合うネタにするのも如何でしょうか。
事業領域ごとのDXの取組状況、出典:IPA「DX白書2023」に筆者追記
上図は、「事業領域ごとのDXの取組状況」です。「すでに成果が出ていること」に関しては、日米差は1.6-2.2倍程度と大きいですが、「今後まで含めると成果を見込めている程度」は1.2-1.4倍程度と小さいです。しっかり成果を確認していくことが重要であることが見えてきます。コロナが5類化されていく中で、こういった国内外の中の動向もみつつ、コロナ禍などで導入されたDXツールについては、社内でも議論しつつ、自分たちにとってどのような効果があったのか、と考えていくこともあろうかと思います。
あらためて、最近話題になっている「リスキリング」とは、何らかの新しい知識を学ぶことでしょうか。新しい知識を学びつつ、何らかの新たな対象に活用することでしょうか。最近の様々なデジタルのツールは、その利用方法を学ぶと共に、コーディング等をしなくとも、新しい対象に適用がしやすくなっています。DXツールは、オンライン会議システムでも、バージョンアップで、いつの間にか、日本語字幕が表示されるようになっていたりしますが、そういった機能に気付くか否か、ということで機能の導入が進みます。日本語字幕によって、議事録作成も速くなります。ただ、内容を、参加者が同様に理解しているかは別です。なんとなくの作業で、議事録ももっともらしい感じでできてしまうので、もっともらしい議事録を含めた会議が進んでいるかのように見えても、業務遂行において本当に進んでいるかは、参加者の意識も含めて、日本語字幕機能の場合の効果として確認していく重要性が「DX白書2023」からは見えてきたかと思います。
「共に考え、共に学び、共に担う社会へ」というテーマをKK2としては、DXについても、本メルマガ、DKC/DSC等のコンテンツを通して考えています。今回ご紹介しているDX白書2023の動向は、「共に担う」という部分に関連してくると思います。どう担って、「皆さまの組織としての効果」につながったか、という点が今の時点では重要であると思います。皆さまの組織の中で、改めて考えてみませんか?
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