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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第777号 2023年3月17日発行)by AVCC

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「理性」のレベルアップ -情報過多社会をどう生きるか?-

伊庭野基明
KK2グローバルキャリアカウンセラー

 3月3日の夕刻、公認会計士の野田弘子さんをお迎えして、第3回デジタルTERA小屋を、KK2でハイブリッド開催しました。会場、リモートでご参加いただいた皆様のご協力も得て、「ダイバーシティなくして、日本の未来なし!」とのテーマで、今、日本企業とそこで働く社会人に求められるESG*の理念の理解と責務、そしてダイバーシティと個人の自律まで、ハイテンポで名調子なご講演をいただきました。
*ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス[企業統治])の頭文字を合わせた言葉で、この3点に考慮した投資活動や経営・事業活動を指します。

 今回、野田さんとお話しする中で、性別、国籍、肌の色、障がい、年齢、もっと言えば、世界観、思想が異なる他集団との関係性をどう考えるかがダイバーシティ(多様性)理解の肝だったと、多様な人々が集うアメリカで苦労して仕事をしながら考えていたことを思い出しました。それは、慣れ親しんだ(と思っている)、暗黙知で分かり合える(と思っている)同一集団内のみの視点だけでなく、異なる集団とも言語化、見える化した形式知で「共通了解」を創り、拡大する、そしてお互い異なる部分を、「それぞれの自由」として相互にリスペクトし合う、人間の「理性」に基づいた「自由の相互尊重」という思想が、近代西欧社会を築き上げたといった事です。(ご参考:「グローバル社会と日本人に求められる力」)

 私も帰国してから15年たち、特にこの3年間のコロナ禍での日本の閉塞社会にどっぷりで、この理性に基づいた「多様性社会の視点」という肌感覚を忘れてきていたようにも感じ、リモート会議や、メディア視聴時間が長くなるなど、必要さと便利さでの自身のDX化加速も相まって、無意識ですが、限られた情報のみに囲まれて暮らしてしまったかもしれません。

先月号のコレクティブ・ラーニングの稿でご紹介しましたが、人類は幾多の集団学習を経て「言葉」を基礎に「理性」を獲得し、近代社会を形成しました。しかし、特にこの20年、足下に押し寄せる情報過多の環境、過度な商業主義や政治手法など、この「理性」を無視し、無意識の「直観」「感情」へのアプローチが、現代の個人と社会を危機に導いているとジョセフ・ヒースは「啓蒙思想2.0」で説いています

 狩猟採取時代にできた脳が、なんとか近代までたどり着いた個人の中の理性を「理性1.0」とすれば、Web1.0の集中から分散へ、ある意味多様性と自律の接続で先行したWeb2.0を追いかける形で、この人間の理性を非力だと言って諦めず、「社会的(集団的)事業」としてもう一段レベルアップし、言わば「理性2.0」を創りだすことが求められると言っているようです。デジタルTERA小屋第4回石井美恵子さん(4月19日開催予定)も是非ご参加ください。

「啓蒙思想2.0」-政治・経済・生活を正気に戻すために-ジョセフ・ヒース:早川書房
(注:ヒースは「啓蒙思想2.0」と言っており、「理性2.0」は伊庭野の造語です。)

伊庭野さん 伊庭野基明
1974年慶應義塾大学卒。日本IBM、リクルート、慶應義塾大学、外資金融機関等を経て、現在KK2グローバルキャリアカウンセラー(米国 GCDFキャリアカウンセリング資格)。一般財団法人AVCC 理事

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