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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第785号 2023年5月12日発行)by AVCC

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AI革命と人間のしごと力-冷静な目で関係性を考える-

伊庭野基明
KK2グローバルキャリアカウンセラー

 ChatGPTなど新しい生成AIツールを既に使いこなしている方も多いかと思いますが、今回は、私たちが現在直面しているAI革命の中で、これらの言語系生成AIとどう付き合っていくのかについて考えたいと思います。

 言語系生成AIは、主に草稿の作成や翻訳、文書の要約や校正などを得意としていて、プログラムやエクセルマクロの作成なども可能です。一方、現時点では検索能力に難のある製品の中には、Hallucination(幻覚)と言って、嘘の情報をもっともらしく合成し、人間をだますことが多々あり注意が必要です。しかしながら、この機械系とのインターフェースは革命的であって、近い将来、情報の正確性や、その能力が高度に発展した場合、自律的な存在として「人格」に近いものを持つように見える事が現実になると予測されています。

 人類は自らの心身のスキルと道具・技術と制度の関係性の中で、「しごと力」(コンピテンシー)(概要解説動画)を変化させてきましたが、今回のAI革命ではこの人間のしごと力はどうなるのでしょうか。例えば、KK2のコンピテンシー分類(上図)でいえば、「実行力」は、引き続き人間の領域のように見えますが、「問題解決力」の中の把握、分析、究明といったデータ処理や、論理解析と言った部分ではAIの力を大いに活用することになりそうです。しかし、「人間関係力」に関してはどうでしょうか。人間は(生身の)人間関係の中で社会を形成してきましたが、今後は、「機械人格」とどう向き合うのかと言った議論も出てくるかもしれません。ここで、我々人間が、今まで多様な相手同士の関係性を築いてきたように、第777号「理性のレベルアップ」でご紹介した「多様性をどう認め合うか」が役立つかもしれません。

 現在、欧米などでは、生成AIに対する拒否反応や規制の動きが報じられています。一方、日本では公共分野でも利用に前のめりの動きが見られますが、少子化対策にしろ、デジタル改革にしろ「異次元の改革」と言うならば、憲法も含め社会制度を抜本的に変える議論とセットにして、初めて世界を先導する大胆な施策と言えると思います。

 今年度の「デジタルTERA小屋」では多様性や人権について議論してきていますが、5月26日には山本龍彦教授をお迎えして、「情報的健康」についてお話を伺います(予告動画)。AI革命が進展する今こそ、皆様と共に考え、学び、担う社会へと活動していきたいと思います。

伊庭野さん 伊庭野基明
1974年慶應義塾大学卒。日本IBM、リクルート、慶應義塾大学、外資金融機関等を経て、現在KK2グローバルキャリアカウンセラー(米国 GCDFキャリアカウンセリング資格)。一般財団法人AVCC 理事

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