「ダイバーシティ」対話力を磨き、多様な人材が活躍できる社会へ
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秋田 義一
一般財団法人 AVCC 理事
一般社団法人 話力総合研究所 理事長
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去る3月3日にデジタルTERA小屋「ダイバーシティなくして日本の未来なし!」がKK2スタジオ+オンラインLIVEで開催されました。公認会計士でいらっしゃる野田弘子先生のお話でした。私はスタジオでリアルにお聴きしましたが、たいへん示唆に富んだお話で、今後の社会を考える上で有益でした。当日の講演はKK2Webサイトで公開されていますので、ご覧になってください。
野田先生のお話は、「ダイバーシティなくして、日本の未来はない」「多様な人材が自由な発想で、組織や社会とかかわることが大切」ということだと理解しました。そして、ダイバーシティを受け入れることは、たいへんなことだと感じました。忍耐と許容の精神が必要です。考え方も発想も、極論すれば、何から何まで違うのですから、相互理解に達するまで相当の努力が必要です。説明し、わかってもらえなければ、先に進めません。以心伝心はあり得ません。ことばを使って、相互理解を図るのです。どこで協力し合えるか、忍耐強く自分の考えを正しく伝え、相手の真意をできるだけ正確に推し量る。今から意識して自身のコミュニケーション能力を磨かなければなりません。
しかし、心配いりません。不可能なことではないと信じています。なぜなら、これまでも私たちは異質な人の集まりでした。生まれも育ちも皆違います。考え方が似ている人はいても、まったく同じ人はいないでしょう。
対話の効果をあげるには、まずは「訊く」力を磨くことです。耳を傾けて積極的に聴く、「傾聴」はもちろんですが、傾聴を超える「訊く」。相手の本音を引き出しながら、訊ねながら「訊く」ことです。「訊く」能力とともに「話す」能力も磨きましょう。余計なことを話さない。常に目的を意識して話す。相手に気を配り、感じよく、正確に、わかりやすく話す力をつけてください。こうしてコミュニケーション能力を磨いていけば、おのずと対話の効果が高まります。曹洞宗の開祖、道元禅師のことばにあるように「傾聴は愛のはじめなり」です。好意的な人間関係を築きやすくなるでしょう。
もちろん、話す聴くことによって、お互いの利害関係を調整することができるでしょう。問題解決に効果的です。問題を解決するための最良の方法は対話だと考えています。野生の問題解決は「弱肉強食」です。人類は、共生するための問題解決法「対話」を発見したのです。そして、対話により問題解決を図れるのは人類だけなのです。人間であれば、力によらず、対話により問題解決を図るべきなのです。人間の存在価値は「対話による問題解決」にあるのではないでしょうか。
さらに、自己教育につながります。話す、聴く力をつける努力を継続すれば、思考力、情報収集力、記憶力が高まり、主体性が磨かれます。また、集中力、忍耐力がつき、社会性を養うことができます。コミュニケーション能力を磨き、私たち誰もが主体的に活躍できる社会をめざそうではありませんか。
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