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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第796号 2023年7月28日発行)by AVCC

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暑い夏は“鎮魂の祈り”の季節

古賀伸明
元連合会長
公益社団法人国際経済労働研究所会長

 1945年6月23日は、太平洋戦争末期の沖縄戦で組織的戦闘が終結した日だ。この日は戦争による惨禍が再び起きることのないよう、人類普遍の願いである恒久平和を希求するとともに、戦没者の霊を慰めるため「慰霊の日」と沖縄県の条例で定められている。

 今年の6月23日、糸満市、摩文仁の平和祈念公園では、沖縄県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が4年ぶりに開かれ、約4千人が参加した。私も連合事務局長・会長時代は、2年に1回は参列し、沖縄戦で亡くなられた全ての方々に心から哀悼の意を捧げてきた。78年前の沖縄戦では、日米合わせて24万人を超える人々が亡くなった。公園内の石碑「平和の礎」には犠牲者の名前が刻まれており、早朝から訪れた人たちが手を合わせる姿が目に浮かぶ。太平洋戦争は、沖縄の皆さんの心に決して癒えることのない大きな傷跡を残しただけでなく、「米軍基地問題」という極めて深刻な問題を置き去りにしたままとなっている。そして、米軍が関係した事件・事故により沖縄県民の生命・人権・財産が脅かされている。

 8月6日午前8時15分には広島に原子爆弾が投下され、熱線と爆風によって14万人余の尊い命が奪われた。続いて、9日午前11時2分に長崎に投下され、約7万4千人の尊い命が犠牲になった。原爆で亡くなられたすべての方々に心から哀悼の意を捧げるとともに、被爆の後遺症に今なお苦しんでおられる方々に、心からお見舞いを申し上げる。

 私は仲間とともに5年に1度、ニューヨークの国連で開催される核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議に1000万人署名を持参するとともに、現地でのシンポジウムや平和行進にも参加した。原爆展を開催するなど、世界で唯一の被爆国である日本の国民として、世界各国の代表やアメリカ国民に対して、核兵器廃絶について直接訴える行動を展開してきた。しかし、残念ながら今、ロシアによるウクライナ軍事侵略における核威嚇や中国の核戦力増強など、核軍縮に逆行する動きとなっている。

 そのような情勢の中で、去る5月19日、先進7カ国(G7)首脳は、G7広島サミットにおいて「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を発表した。被爆地・広島で開催された歴史的なサミットにおいて、グローバルサウスに加え、ウクライナ大統領が出席した中で、核軍縮に関するビジョンが出されたことは一定の評価はするが、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な道筋は示されていない。日本政府には、唯一の戦争被爆国として、その実現に向けた具体的な取り組みを示すとともに、その履行を各国に求めるべく、外交努力を粘り強く続けるよう望みたい。

 そして、8月15日には「終戦の日」を迎える。暑い夏は“鎮魂の祈り”の季節であり、改めて平和を考える季節でもある。脅威を身をもって体験された方々の高齢化が深刻化しているからこそ、日本が経験してきたことを、決して風化させず、その記憶を紡ぐ営みは続けなければならない。

古賀さん 古賀 伸明
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。

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