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メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第800号 2023年8月25日発行)by AVCC

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不覚にも新型コロナウイルスに感染

古賀伸明
元連合会長
公益社団法人国際経済労働研究所会長

 新型コロナウイルスが、感染症法上で2類から季節性インフルエンザと同じ5類に移行したのが5月8日。それ以降も感染者数は増加し、専門家の中には第9波の判断を妥当とする人もいる。そんな状況の中、不覚ながら新型コロナウイルスに感染した。残念ながら、軽症とはいかず入院を余儀なくされ、日常が戻りつつある中で「ウイルスが消滅したわけではない」ことを、身をもって経験した。

 陽性反応が確認され、即入院。まさに着の身着のままである。酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターと、鼻腔より酸素を投与する酸素吸入器を24時間装着し、酸素飽和度はナースセンターに常時計測結果が表示されていた。当然、感染症のため、家人との面会も出来ず、医師や看護師も必要最小限の病室への入室であり、一人の時間が長い。そんな入院生活で身近で頼れるのは、看護師の皆さんであり、仕事とはいえ常に献身的に働く姿に頭が下がった。そこには、知識や看護技術だけではなく、患者に緊張感や不安を与えないような心がけを感じるからであろう。

 日本の超少子高齢社会がさらに進行することで起こる「2025年問題」は、看護師にも大きな影響を与える。第一次ベビーブーム(1947年~1949年)に生まれた、いわゆる「団塊の世代」の全員が75歳以上の後期高齢者となるのが2025年。一方で若い世代の人口や出生数が減少を続けることで起きるさまざまな社会問題の総称が「2025年問題」である。厚生労働省が公表している調査・推計資料によると、2025年における看護職員の供給推計は約175万人~182万人。一方で看護職員の需要推計は約188万人~202万人と推計されており、看護師不足に直面する。現在の看護師の定着はもちろんのこと、看護師資格を持っているものの、医療の現場で働いていない約70万人と推計されている「潜在看護師」の復職の推進も重要な取り組みである。また政府は現在、「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、地域内で総合的な支援を提供する仕組みだ。在宅での医療・看護や介護の提供が重視され、看護師も在宅看護へのニーズの高まりに対応して、訪問看護師としての働き方を求められるようになる。

 このような環境の変化に対応すべく、看護師が働き続けられ、モチベーションを維持する環境の整備が不可欠である。賃金・労働時間をはじめとした労働環境やキャリアパスの整備は、看護人材の確保につながり、潜在看護師の復職にもいい影響を与える。加えて、女性の社会進出・活躍が注目されている昨今の社会状況の中で、女性の働き方に先駆的に取り組んできた経験と実績を生かし、日本全体の女性の働き方について社会に発信し続け、日本の女性活躍をけん引することも期待したい。

 最後に、発生時より新型コロナウイルス(COVID-19)に正面から向き合い、その対応に全力を挙げている医療従事者の皆さんに、改めて感謝を申し上げる。

古賀さん 古賀 伸明
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。

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