人間に残される最後の領域 -既にAIは「心」を得たか?-
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC 理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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9月14日、弁理士の黒瀬泰之さんに、「デジタルTERA小屋」へご出演いただき、「深く考えられる人間になろう~発明者の思いを形にする『弁理士』のChatGPT活用法~」というタイトルで、弁理士のお仕事の神髄に加えて、生成AIの一つ、ChatGPTを実際のお仕事でどう使われているかを伺いました。AIで仕事の効率は向上するものの、人間だからこそできる、深く物を考え、真理に迫るという気概を学ばせていただきました。(動画視聴はログイン不要、講師資料ダウンロードはログインしてください)
さて、ChatGPTは昨年11月の発表以来、日進月歩で進化していると日々ニュースになりますが、冷静に考えてみると、ChatGPT自身が劇的に進化しているというよりも、半世紀かけて進化したコンピューターとその後融合したネットワーク上で開発され、それぞれバラバラに存在してきた無数のプログラムやデータが、この生成AIという人間と機械との言語インターフェースで、有機的に統合されつつあると考えるのが正しいかもしれません。日々何億人がChatGPTと対話している状況で、人が使えば使うほど、急速に人の思考回路を学んでいるのでしょう。
さて、KK2では、既に何回かご案内していますが、「KK2キャリア相談室」を常設し、経験豊富なキャリアカウンセラーが毎日予約枠(各50分)を設けてお待ちしております。Webの予約ページから、ご都合のよい日時、ご希望のカウンセラーを選んでいただき、申し込みしていただく事ができます。コロナの前は対面のみ、コロナ中はリモートのみ、現在は対面・リモートのどちらかをお選びいただけます。
科学雑誌Newtonの10月号掲載記事では、アメリカの心理学者ミハル・コシンスキー博士は、ChatGPTは“心の理論”(通常7歳児で人間が獲得するという、他者が置かれた立場や状況を理解し、その人の気持ちや考えを予測する能力)をChatGPT-3.5で獲得したのかもしれないとのべています。ChatGPTに「私の家庭教師の役を演じて」と指示すれば、「出題⇒回答⇒評価⇒解説」といった学習プロセスはこなせますが、「心」を持つとすれば、カウンセリングもいけるかもしれません。
将来的には、簡単なカウンセリングはAIがこなす世界がまず間違いなく到来すると思いますが、黒瀬さんの「深く考えられる人間」という意識の領域も含め、カウンセリングでも人間同士心を通わせる対話の領域をどう確保するかは重要だと思います。
更に言えば、介護の領域にもAIが活用される時代がくるでしょう。しかし、ここでも人と人の心の通い合わせという最後の領域は残されるはずです。このあたりは、来る11月30日開催予定のデジタルTERA小屋でご母堂、ご主人の介護と看取りをご経験された藤原瑠美さんから、お話を聞けるかもしれません。皆様のご参加をお待ちしております。
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