これからのグローバル世界をどう生きるか?
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC 理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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34年前の今日、1989年11月10日、東西冷戦の象徴である「ベルリンの壁」が崩壊し、翌月にはマルタ島で冷戦の終結宣言が行われ、新たな「グローバル世界」(グローバリゼーション)へと歩み出しました。同じ年には、日本の元号も平成に改められましたが、12月末の日経平均株価は38,957円44銭をピークに、バブル崩壊の道へと向かいました。
私自身は1986年からアメリカで働いていたため、このグローバリゼーションとITの革命的進展という大きな変化を体験しました。OA化によるホワイトカラーの削減などが起こりましたが、米国式のリストラやジョブ型雇用と呼ばれる人材マッチングの仕組み、個人と社会のレジリエンス、ピンチをチャンスに変えるアンチ・フラジャイルといった考え方を学ぶ機会もありました。
これらの変化への対応と急速な進化を遂げるグローバル世界において、私は日本と日本人がどのように対応すべきかを考えていました。(動画 グローバル社会と日本人に求められる力)(動画 21世紀の日本人に必要なちから「レジリエンス」)そのため、2008年に帰国後、「KK2キャリア相談室」の開設や、「しごと力向上ライブラリ」の制作、各種説明会でのコメントなどを通じて、これらの知識や経験を共有してきました。
しかし、その後10数年が経過し、パンデミックや気候異常などの問題が浮き彫りになってきました。さらに、グローバリゼーションとITの進展の副作用として、過剰な情報の流通や経済格差の拡大、文化的・社会的な分断などの課題が浮かび上がり、大規模な戦争まで勃発する事態となりました。KK2では、「アテンション・エコノミー」が社会にもたらした弊害や情報的健康について、憲法学者の山本龍彦教授から意見をいただきました。(動画 情報的健康について)また、「日本の課題と針路」については、元財務官僚の松田学氏からご意見をいただきました。(動画 明日はどうなる!令和の日本)
ドイツの哲学者マルクス・ガブリエル氏は、この世界の危機を克服するためには、(1)何が正しいかを判断できる思考力を取り戻すこと、(2)倫理と客観的事実に基づく民主的な政治が求められると提案しています。(集英社新書:『未来への大分岐』より)
AVCCは「自ら考え行動するデジタル人材を育み、劇的なパラダイムチェンジにしなやかに対応できるレジリエントな地域・コミュニティの実現」を目指して活動しています。今後も皆様と共に「これからのグローバル世界」をどう生きるかを考えていきたいと思います。ちなみに、きたる11月30日には藤原瑠美さんをお招きして自宅で母と夫を看取り、一人になってしみじみ思うこと ~「介護」が愛おしい~第9回デジタルTERA小屋を開催します。皆様のご参加をお待ちしております。
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