「避難所は体育館」の先入観から抜け出そう!
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秋田 義一
一般財団法人 AVCC 理事
一般社団法人 話力総合研究所 理事長
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元旦早々たいへんなことになりました。令和6年能登半島地震。犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表します。また被災された皆様にお見舞い申し上げます。
そういえば、昨年の5月に「災害は忘れる前にもやってくる」と題して、来るべき災害に備えようと訴えたばかりでした。今、寒さ厳しい日本海の沿岸で体育館等での避難生活を強いられた皆さまに思いを寄せながらも、何もできず忸怩たる思いです。
ところで、日本国憲法25条をご存知ですか?「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳っています。避難された方々の生活はどうでしょうか?人の目、耳を気にしながらの生活。避難所で低体温症やエコノミークラス症候群を心配しながらの生活。トイレを我慢しながらの生活。普段毎日風呂に入っていたのに、入れない生活。食べたいもの、飲みたいものを我慢しながらの生活。「健康で文化的な最低限度の生活」に対して「不健康で非文化的な最低の生活」と言わざるを得ません。
「災害なのだからしようがない」「避難所といえば体育館でしょう」「避難には体育館が便利だから」そのような話を聴くことがあります。しかし、そうでしょうか。私たちは「避難所は体育館」という先入観を払しょくしなければなりません。内閣府の「災害救助事務取扱要領」の令和5年度災害救助基準には次のような記載があります。「避難所での避難生活が長期にわたる場合等においては、避難所で避難生活している者への健康上の配慮等により、ホテル・旅館など宿泊施設を借上げて実施することが可能」つまり、ホテルや旅館を避難所にしてよいと言っているのです。体育館の避難所でなくてよいのです。現在、石川県などでもホテル、旅館を利用した二次避難所の開設を進めています。今後もホテルや旅館の活用があたりまえになるよう声をあげていきましょう。
KK2では2023年4月に石井美恵子先生(国際医療福祉大学大学院 災害医療分野教授)をお招きし、「災害大国日本で考える、人権と尊厳」と題し、避難所の在り方などのお話をお聴きした動画を無料で公開しております。ぜひこちらもご視聴ください。
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