キャリアの多段ロケット
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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1月20日、小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸成功で、日本は世界で5番目の月面着陸国となり、続いて2月17日には、H3ロケット2号機の見事な発射成功がありました。これらから、私は高校生時代のアポロ月面着陸時の高揚感に近いものを感じました。ちなみに、こうした成果は、ロケット学者ツィオルコフスキーが1903年に考案した「多段ロケット」方式によるもので、これにより、飛行体を効率的に宇宙に送り出すことができるようになったとの事です。
さて、地上の世界に目を戻すと、日経新聞(2月19日)がトップで、「70歳以降も働く人が調査開始以来最多の39%になった」と報じています。その理由として、「将来的な経済面の不安」が最多で70%、それへの取り組みとして、「預貯金」が61%に対し、「長く働くための技能向上」は14%と低く、記事は「学び直し意欲高まらず」と、生涯キャリアへの課題を指摘しています。健康寿命も延びる中、働ける、働きたいという事であれば、大きく変化する労働市場ではありますが、まずは「キャリアデザイン」の再整理がキャリアチェンジには有効かもしれません。
1990年代景気後退の中、米国史上初めてオフィスワーカーのレイオフが行われた時期に私が米国で学んだキャリアデザインは、個人のスキルと職務内容の適合を重視するアプローチでした。当時のある新聞に、「キャリアの多段ロケット」と題し、3段ロケットで上昇するビジネスパーソンの挿絵と共に、リスキリングでの様々なキャリアチェンジの例が紹介されていました。
Microsoft Copilot/ DALL-E3〈生成AI〉で筆者(プロンプト)が作成(2024.03.03)
一方、厚生労働省の公表データによると、新規学卒就職者のうち、「就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で32.3%」と高い数字を示しています(厚生労働省、2023年度)。この時期は、ロケットの一段目となる大事な時期でもあり、急流を筏で下るように、多くの経験をしながらスキルを磨き、2段目のキャリアへ備える事を考えて欲しいものだと思います。
KK2では、皆様のキャリアデザインのお役に立てるよう、「KK2キャリア相談室」や「しごと力向上ライブラリ」などの支援プログラムを用意、提供してきています。一人ひとりのキャリアが充実し、納得のいくものになるよう、共に考え、学び、成長していきたいと思います。
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