そもそもコーポレートガバナンスとは?
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野田 弘子
公認会計士 / AVCC 評議員
プロビティコンサルティング株式会社 代表取締役
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そもそもコーポレートガバナンスとは何か?を考えるにあたって、こういう説明はいかがでしょうか?
株式会社は株主からの出資によって成り立っています。株主は間違っても寄付するつもりはなく、出資を増やしたいと思って投資しています。株式会社がほかの会社(合資、合名、合同)と違うのは、出資する人と経営する人が別人でも構わないというところです。
したがって株式会社では出資者は不特定多数になることもあり得ます。例えば上場企業です。大勢で経営しては収拾が付かなくなりますから、経営のプロを選ぶことになります。これが株主総会で選任される取締役の方々です。取締役それぞれが経営するのではこれまた混乱するので、経営する責任者、執行責任者を選びます。これが代表取締役であり、取締役会で選任されます。経営するとは?簡単に言えば、預けられたお金の配分を決めること、ビジネスに投資して回収することです。代表取締役は、会社の実印と銀行印を握っています。
ここからは株主の立場になってみましょう。あなたは代表取締役に自分のお金の運用を任せちゃったわけです。よーく考えよう。株主にとっての最大のリスクは代表取締役の経営能力ということになります。無能(任期の間は何にもしないでおこう)でも無謀(理由はないけど、思い切って、海外進出だ!)でも困ります。と考えると、取締役会の責任は経営者としての代表取締役を監督することです。例えば、“そんな計画じゃだめだ!”とか、“ここはしっかり投資しよう!”とか、代表取締役に物申すことです。そして取締役会の機能を第三者としてモニタリングするのが監査役(会)です。
このように、コーポレートガバナンスは出資者である株主と株主がその資金の運用を任せた取締役(会)、監査役(会)との信頼関係構築のことなのです。
ちなみに、株主は投資を回収したいから株主になっていますが、今の会社は“どんなことをしても儲かればいい”では許されなくなっています。これがESGとかSDGsです。これは次回に(7月予定)。
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