「デジタルパンデミック」とどう向き合うか
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久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表
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2019年に始まったCOVID-19パンデミックで人々が対面でコミュニケーションする機会が減り、世界中の多くの人々がデジタル空間に足を踏み入れました。COVID-19は喉元過ぎれば熱さを忘れた感がありますが、デジタル空間の方は生成AI等画期的技術革新が加速し、私たちはいわば「デジタルパンデミック」の中に居るといっても過言ではありません。デジタル空間とどう向き合うかを考えてみました。
1.「情報的健康」を肝に銘じる
デジタル空間のプラットフォームに国境という概念はなく、個人データやデジタルサービスが瞬時に世界を飛び交い、AIが人間の思考を的確に分析し予測できるとされます。各国社会での個人情報保護、データの透明性、公正な取引の実現といったお作法に、プラットフォームが則している訳ではありません。
「デジタル空間は、かなり人為的な空間で自分に合った考えが集まり、そうではない考えは入りにくい。自分と異なる考えの他者の存在が感じられず民主主義に対してリスクがある。」このことを踏まえ、偏った情報で判断せず「情報的健康」を意識し行動することが肝要です。第5回 デジタルTERA小屋 山本龍彦さんを是非もう一度ご覧いただき、「情報的健康」を肝に銘じてください。
2. 高齢者弱者をデジタル空間に誘う
超高齢社会×デジタル社会に関するアンケートで、65歳以上の独居高齢者・高齢者同士世帯の約30%がスマートフォンを持っていない、または使えない、即ちデジタルリテラシーに乏しくデジタル空間に足を踏み入れたことがないことが判明しています。高齢者弱者こそがデジタル社会の恩恵を受け、その生きにくさを軽減もしくは解消するべきです。地方に専門家を派遣するセミナーではデジタルリテラシー向上はできません。地域で、得意な若者が不得意な高齢者を対面で指導する学び合いの環境、即ちデジタル公民館(R)活動こそが決め手となります。
またユーザーフレンドリーなUIが標準化され、意識せずとも利用できる情報端末が登場し、ユーザー指向のデジタルサービスが社会に実装される日も近いでしょう。超高齢社会が進展する中で、高齢者弱者をデジタル空間に誘う活動が期待されます。
「超高齢社会×デジタル社会に関するアンケート」(令和5年度AVCC実施)より
前号でもご案内しましたが、6月28日(金)15:00~恒例のAVCC&KK2事業説明会を開催し、前鳥取県知事、元総務大臣 片山善博さんに『どうする?これからの日本と日本人』と題しご講演いただきます。皆さまと共に考え、共に学ぶ機会になればと期待しております。ご参加をお待ちしております。
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