変わる日本の就職マーケット
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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2025年新卒の採用選考が6月1日解禁となり、早くも8割が内定しているとの事ですが、「キャリア官僚合格、東大生が過去最少 試験倍率は最低に」(日本経済新聞電子版2024/5/28)という記事が目に留まりました。記事は「10年で半分ほどに減った。背景には東大生の意識の変化がある」と報じています。
更に、「東京大学新聞社によると、23年3月に就職先で最も多かったのは楽天グループの17人、大学院修了生だとコンサルティング大手のアクセンチュアの41人」とあり、続いて、21年度の学生対象の人事院調査の結果として「採用試験の勉強や準備が大変」「超過勤務や深夜・早朝に及ぶ勤務が多そう」との答えがあったと紹介しています。進学先トップとしての東大卒が目指した官僚職へという日本のエリートキャリアパスはもはや崩れてしまったようです。
以前より、定義された仕事と個人のコンピテンシーのマッチングという「ジョブ型雇用」が効率のよい社会形成に繋がると考えていましたので、過去の東大卒=高級官僚という構図から、より多様性と効率化が高まる方向へと社会が変化し出したということであればよいのですが、「勉強や準備の大変さ、超過勤務を敬遠」といったNG理由をどう考えたらよいのか、悩ましいところです。国家運営のための重要な職務とやる気とコンピテンシーを備えた個人のベストマッチングをどう実現するかは重要ですので、何をどう変えるかといった議論へ繋がって欲しいものです。
実際、別の「東大生の就職先、楽天なぜ3年連続1位 『20代のうちに』」(日本経済新聞電子版2024/3/31)という記事での、楽天入社東大卒へのアンケート結果として「公用語が英語で英語力がつく」「昇進スピードが速い」「ITスキルが身につく」と言った要素を挙げていることなどは、組織と個人双方の取り組みとしての課題と言えるのかもしれません。
KK2では、社会で働くにあたっての実践的な力を「しごと力」と定義して、いつでもどこでも学び、学び合える各種プログラムを開催、運営しています。又、人生通してのキャリアを考える「KK2キャリア相談室」もご利用ください。6月28日には令和6年度 AVCC&KK2事業説明会『どうする?これからの日本と日本人』と題して、前 鳥取県知事、元 総務大臣 片山善博氏にご講演いただきます。皆様のご参加をお待ちしております。
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