メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第876号 2025年2月7日発行)byAVCC

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オスカー像を夢見た男

久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

1月31日付けのメッセージfromKK2では、90歳になられた今も京都の花園大学大学院で仏教を学び続けておられる柴田文啓住職が、「働く(人生のあゆみ)」うえで若者に伝えたい三つの良い生き方を次のように説かれました。

1.自分の将来の夢をしっかりと描くこと
2.我慢する力を強くすること
3.常にポジティブにあらゆることに対処すること

 読者の皆様はご自身の歩みを振り返りどう受け止められましたか。恥ずかしながら筆者自身は、三つのどれも中途半端のまま歳をとってしまいました。この翌日2月1日NHKで放映された、「新プロジェクトX~挑戦者たち~ ゴジラ、アカデミー賞を喰(く)う」では、スタッフたった35人のVFX*集団を率いる山崎貴監督作品『ゴジラ-1.0』が、ハリウッドの大掛かりな映画作品を押しのけ、第96回アカデミー賞視覚効果賞を日本映画として初めて獲った快挙が感動的に描かれました。関心のある方は、再放送(明日2月8日am8:15から)やオンデマンドでご覧ください。


オスカー像への思いを語る故阿部秀司氏(2018年6月13日KK2での講演

 番組では、山崎貴監督と若きVFXのエキスパート達に加え、受賞の直前に惜しくも逝った阿部秀司プロデューサー(2023年12月11日鬼籍に入る)の働き(生き方)が丁寧に紹介されていました。

 筆者は中学二年生の時に偶々阿部秀司氏と同じクラスになり、長くお付き合いをさせていただきました。中学生の時から、自分は将来映画を作る人になるという夢を描いておられ、CM制作プロダクションを創業、映画を製作しオスカー像を手に入れるという熱い夢を語っておられました。ハリウッドに比してあまりにもプアな日本映画市場で、プロデューサーとして製作費をかき集め、映画通からの評価は高いが興行的には振るわないといった厳しい波にも耐え、次のジャンプタイミングを待ち続けました。才能と可能性のある若いスタッフと常にポジティブにそして厳しく接し、「やってみればいいじゃん」と出番を作り、背中を押し続けました。

 「Love Letter」「ALWAYS三丁目の夕日」「永遠の0」「海賊とよばれた男」等々多数の素晴らしい日本映画を遺し、短編アニメ『つみきのいえ』ではアカデミー賞短編アニメーション賞を獲得、オスカー像を手にしましたが、『ゴジラ-1.0』のオスカー像は黄泉国で手にされたことでしょう。阿部秀司氏の生き方に大いに敬意を表しご冥福を祈りたいと思います。筆者もせめて今後の残された人生では、「夢を持ち続け」「我慢する力を磨き」「常にポジティブでいたい」と自分の心に誓いました。

*VFXとは:Visual Effects(視覚効果)の略。実写映像にCGやデジタル処理を加えて、非現実的な効果を実現する技術。実写とCGを融合させる点が特徴で、映画やドラマで多用されています。

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