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メッセージ from KK2
KK2weekly【メッセージfromKK2】(第891号 2025年5月23日発行)byAVCC
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麻雀の新しい風
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古賀 伸明
元連合会長
公益社団法人国際経済労働研究所会長
一般財団法人AVCC理事
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かつて「たばこ、酒、博打」といった、どこか“昭和の男の娯楽”のイメージが強かった麻雀。実は私もその世代。若いころはよく牌を握ったが、あの頃の雀荘は、もうもうと煙草の煙が渦巻き、外とはまったく違う空気に包まれていた。時には朝まで、いわゆる徹マンもやった。
ところが最近、その麻雀が「健康な頭脳スポーツ」として静かに、しかし着実に人気を集めているという。驚くべきは、女性や子ども、お年寄りにまでその輪が広がっていることだ。今では、学校の部活動として麻雀を取り入れるところもあるほどで、かつてのイメージからは想像もつかない光景が広がり、将棋や囲碁と同じ“頭脳系”の一つとして注目されている。
麻雀には、役作りの論理的思考、計算力、そしてコミュニケーション力が求められる。どのような役を作れば逆転できるか、点数の計算、相手の捨て牌からの分析、すべてが脳をフル回転させる作業だ。さらには、対局後に自分の打ち方を解説することで、プレゼン能力や振り返りの力も自然と育まれる。まさに、学びに満ちたゲームといっても過言ではない。
こうした流れを牽引しているのが、「Mリーグ」だ。2018年に始まったプロリーグで、現在9チームが約半年かけて優勝を目指しリーグ戦を繰り広げる。試合はオンラインで配信され、視聴者数は年々増加。過去の最終戦ではなんと約500万人以上が視聴し、都内で開催されたパブリックビューイングでは8,000円のチケットが即完売するほどの人気ぶりだった。
Mリーグの面白さは、単なる勝負だけではない。選手たちの駆け引き、人間ドラマ、控室での裏話、チーム内の戦略まで楽しめるエンタメ性も抜群だそうだ。まさに“スポーツ”としての魅力が詰まっている。個性的でユニークな実況と解説や映像演出も相まって、麻雀を知らない人でも楽しめるコンテンツとなっているのだ。いわゆるスポーツ観戦をするのと同じ気分だという。
しかも、視聴者の層が幅広い。実際に、「ルールは分からないけど、推しの選手がいるから観ている」という女性や、「Mリーグをきっかけに麻雀を始めた」という若者の声も少なくない。チームでの声かけや戦略の話、選手の素顔など、まるで野球やサッカーのファンのような盛り上がりを見せているという。
一方で、お年寄りにとっても麻雀は人気のレクリエーション。手先を動かし、役作りや点数計算が認知症予防にもつながるといわれ、地域の健康麻雀教室なども盛況だ。世代や性別を超えて、共通のルールのもとに集まり、牌を通じて会話が生まれる、麻雀には、そんな不思議な力がある。
今や麻雀は、「スポーツ番組」としてお茶の間に届く存在になりつつある。頭を使い、人と交わり、ドラマに感動する。そんな新しい麻雀のかたちが、少しずつ、でも確実に私たちの生活の中に根を下ろし始めている。麻雀が「頭脳スポーツ」として、もっと多くの人に親しまれていく姿を、これから私たちはきっと目にすることになるだろう。私もMリーグの熱戦を、一度観てみようか。
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古賀 伸明
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。一般財団法人AVCC理事。
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