メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第889号 2025年5月9日発行)byAVCC

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「考えるという力」 ―AI時代、今こそ求められるコンピテンシー教育―

伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー

 AIが日々進化を続け、私たちの暮らしに深く入り込んできました。検索、翻訳、要約、そして文章や画像の生成まで、驚くほどの速さで機能が拡張されています。使いこなせる、こなせないの議論もありますが、これらの便利さは生活、仕事の効率向上に貢献しています。しかしながら、引き換えに、私たちは「考えるという力」を手放しつつある事も自覚すべきでしょう。

 こうした中、本年4月には「情報流通プラットフォーム対処法(PDF)」が施行され、フェイクニュースや誹謗中傷といったデジタル社会の課題への対応が始まりました。一方で、大規模プラットフォーマーだけでなく、私たち個人にも、情報の真偽を見極める為に、偏らず幅広い情報を摂取する「情報的健康」の実践が求められています。今、必要とされているのは、AIを道具として活用する力と、それに流されない自律した判断力です。つまり、知識としての「デジタルリテラシー」だけでなく、人間としての「コンピテンシー」―問い、考え、選び、行動する力―を鍛え直すことが必要です。


図:SWOT(強み:Strengths、弱み:Weaknesses、機会:Opportunities、脅威:Threats)分析

 AI技術の進化は、19世紀の産業革命をはるかに超えるスピードと影響力を持っています。3月24日の日経新聞には「人間の知性は衰退を始めたか」という記事がありましたが、確かに私たちは、記憶をメモ帳に、計算を電卓に、創造をAIに預ける時代を生きています。カナダの哲学者ジョセフ・ヒースは、「人間の理性は『外部の足場』に支えられてきた」、この「外部への依存は、便利さの活用であると同時に、自ら考える力を手放すリスクでもある」と論じています(参照1)。こうした流れを受け、白井俊氏は新刊「世界の教育はどこへ向かうか」で、知識重視のコンテンツ教育から、何ができるかを問うコンピテンシー教育への転換を提唱しています(参照2)。教育のデジタル化が進む今こそ、「考えるという力」を育む教育が必要です。

 KK2ではこれまで、「共に考え、共に学び、共に担う社会へ」を掲げ、「エキスパート・スタジオ」など、社会人が必要とする実践的な力を考え学ぶ取り組みを行ってきました。これからも、AIと共に歩む時代にふさわしいコンピテンシーの学びに取り組んでいければと思います。

参照1:『啓蒙思想2.0〔新版〕』ジョセフ・ヒース著、早川書房(2022年)
参照2:『世界の教育はどこへ向かうか』白井俊著、中公新書(2025年)

伊庭野さん 伊庭野基明
1974年慶應義塾大学卒。日本IBM、リクルート、慶應義塾大学を経て、現在KK2グローバルキャリアカウンセラー。一般財団法人AVCC理事

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