スポーツ体験をアウトプットすることの楽しさと難しさ
2025年4月。私が沖縄大学に着任してから13年目のシーズンが始まりました。沖縄では、ゴールデンウィークを過ぎると湿度が上がり、雨が多くなります。石原ゼミの学生たちは、「ここ数年、沖縄本島には大きな台風が来てないし、今年も梅雨っぽくないんじゃないかな~」という予測でした。ちなみに、沖縄の県花のデイゴは、春に見事な朱色の花を咲かせます。この花が咲き乱れる年は台風が多いという言い伝え(経験則)があるようですが、今年はあまり咲いていませんでした。どうなりますか…。
さて、本題です。スポーツ心理学の専任教員として着任した私の初回の授業では、いつも自分史を描いてもらいます。初期記憶から現在に至るまでの運動・スポーツに関する主な出来事を思い出してもらい、それぞれの出来事の主観的な満足度(幸福度)を0%~100%に分けてプロットしてもらいます。人生には、ポジティブな出来事もネガティブな出来事もありますので、競技人生のアップダウンを視覚化することができます。次に、3~4名のグループになり、完成した自分史を仲間に紹介してもらいます。

左写真:沖縄の県花デイゴ(2025/4/27著者撮影)、右図:自分史例
自身のスポーツ経験を振り返ることで、改めて自分はスポーツからどんな影響を受けていたのかを深掘りしてもらうことが狙いですが、「今の考え方につながる原風景を思い出した」などのコメントがありました。大学入学後、過去をゆっくり振り返る機会がほとんどない学生たちにとって、この作業は新鮮な時間になっているようです。
それでは、私自身はどうだったか。中学から大学までは陸上競技、大学卒業後ゴルフを始め、プロテストに合格しました。プロゴルファーとして、下部ツアーとレギュラーツアーで2勝する戦績を残しました。私にとって競技で卓越をめざす経験とは、思い通りに動かない自身の身体との対話を繰り返し、身体とうまく折り合いをつけていく時間でした。それは最も困難で理不尽で、しかし楽しい作業でした。楽しいと表現したのは、未だに言葉で表現することが難しいのですが、きっとトレーニングを積むことにより身体とこころが研ぎ澄まされることで、身体からの声が聴こえる状態が起こるのかもしれません。身体は無意識の窓口と表現される心理療法家もおられます。このような現象こそ、研究レベルに落とし込めると、身体を使って表現することの奥深さへの理解につながると思っているのですが…。
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