メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第897号 2025年7月4日発行)by AVCC

我が人生で一押しの映画と出会いました

久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 我が人生で一押しの映画と出会いました。それは2025年6月6日に封切られた映画『国宝』です。封切りから約一か月、私は既に数回映画館に足を運んでしまいました。それほどに激しく心を揺さぶられ、感動し、深く考えさせられたからです。

 物語は1964年東京オリンピックの年、任侠の親分である父親が、目の前で惨殺されるという凄惨な体験をし、15歳の主人公が運命に翻弄されながら歌舞伎界の名門に拾われ、内子として修行を積むことになります。それから50年間、時代の移ろいや師弟関係の変化、主人公に寄り添う女性たちの哀しみに包まれ、浮き沈みの激流にもまれながらも、彼は芸を捨てることなく、自らの血と汗と涙で我が道を貫き、ついに2014年「人間国宝」として認められます。


雲海の向こうに南アルプスを望む(筆者撮影)

 この50年間を息つく間もなく凝縮した175分は、監督、スタッフ、俳優陣、エキストラ達が魂を込めて紡ぎ上げた芸術空間そのものであり、最初から最後まで、まばたきすら惜しくなるほどの高密度の映画でした。数多くの見どころがありますが、特に私が深い感銘を受けたポイントを三つ挙げます。

 ・日本の伝統芸能「歌舞伎」の奥深い世界を体感できる点です。女形の踊りと芝居、どちらも芸に生きる者たちが競い、華やかな舞台と稽古場、師弟関係、型や間へのこだわり、そこに漂う緊張感と芸の追求は、まさに「美しい」のです。

 ・印象的だったのは、「血筋(定め)」と「才能(芸)」の相克です。芸を継ぐべくして生まれる者と、血を持たぬがゆえにどれだけ努力してもなかなか「認められない」者。その間にある絶望や嫉妬、確執、そしてほんのわずかに差す希望の光。それらが幾重にも絡まりあいながら展開する人間ドラマは、観る者に「芸とはなにか」「生きるとはなにか」の問いを突きつけてきます。

 ・主演の吉沢亮さん、横浜流星さん、そして田中泯さん等による息を呑む演技のぶつかり合いです。彼らがそれぞれに抱える過去と覚悟が、舞台上の所作一つ一つに込められており、まさに「芸に生きる」ことの尊さ、狂気、苦しみ、そして誇りがスクリーンから圧倒的な熱量で伝わってきます。

 映画『国宝』は、「人生の教材」であり、そして「心の原点」に立ち返らせてくれる貴重な「文化体験」です。この映画に出会えて幸運だったと心から思います。一人でも多くの方に、この壮絶な美しさと哀しみを味わっていただきたい、そう願ってやみません。最後にお伝えしておきたいのは、上映時間の175分間に休憩が一切ない点です。上映直前に必ずトイレを済ませておくことを強くおすすめします。

 皆さま健康にはくれぐれもご留意され、猛暑の長い夏を乗り切りましょう!

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