「多元性(Plurality)」の視座 -人間の理性とネット選挙-
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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街は猛暑となっていますが、7月20日の参議院選挙を前に、ネット界隈でも熱気が広がっています。とくにここ数年、SNSでの発信や利用が広まり、若年層の政治への関心や意見表明も可視化されつつあるように感じます。
一方、誤情報や悪意ある投稿、フェイクコンテンツの流通など、リスクも増しています。過去の選挙では、SNSの不適切な利用が候補者や有権者に混乱を与える場面もありました。とはいえ、こうした問題が広く共有されることで、法整備やプラットフォーム側の対応も進みつつあります。なにより、利用者側に「自分の眼で見、耳で聞き、頭で考える」という理性的な姿勢が芽生えることに、期待を持ちたいと思います。
このような情報環境と向き合うとき、技術と社会の関係をどう捉えるかが問われます。度々紹介させていただいていますが、技術進化は加速しており、AI分野でもカーツワイル氏らが語る「シンギュラリティ(技術的特異点)」が現実味を帯びてきました。これは、AIが自己改良を繰り返し、やがて人間の知能を超えるという未来像です。
ただ、もともと「シンギュラリティ」は、物理法則の概念で、「単一の点に力や知能が集中する」という構造が前提です。しかし、現実の社会はもっと複雑で、単純な集中や効率では語れないはずです。
この点を、台湾のオードリー・タン氏が、近著『プルラリティ』で、「単一の正解」ではなく、「多様な価値が共存する中で協働を築く」ことこそが、これからの社会の基本原理だと指摘しています。この「多元性(Plurality)」の視座は、メッセージ from KK2第777号「理性」のレベルアップ -情報過多社会をどう生きるか?-でも紹介しました「共通了解の形成と自由の相互尊重」という理念と深くつながります。異なる意見や価値観を持ち寄りながら、互いに尊重し、共に前に進む。それは、グローバル社会に生きる私たちに求められる基本姿勢です。
AIの時代においてこそ、判断するのは人間です。技術に委ねるのではなく、私たち自身が考え、話し合い、未来を選び取る力を鍛える必要があります。選挙とは、単なる一票ではなく、「どのような社会を望み、自分がその中でどう生きるか」を映す鏡でもあるのです。
最後ではありますが、多元的な視座の確認と情報的健康の維持にも役立つ、KK2キャリア相談室も是非ご利用ください。
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