メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第901号 2025年8月1日発行)by AVCC

選挙中に考えた「日本人の定義」

久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 政権交代が問われた参議院議員通常選挙が終わり、記録的な酷暑が日本列島を覆っています。私見ながら、年々、夏の暑さは厳しく、長くなってきているように感じます。狩猟社会であれば、暑さを逃れて高地へ移動することも可能だったのかもしれません。しかし現代の私たちは、この過酷な気候とどう向き合い、どう生きていくのか――日々、考えさせられます。

 今回の選挙では、政策の中身やイデオロギー以上に、SNSを通じてどれだけ注目を集め、どれだけ共感を呼ぶメッセージを発信できたかが、政党の命運を左右したように感じました。キーワードやハッシュタグなど、デジタルコミュニケーションの巧拙が、支持の広がりへと直結する時代に私たちは生きているのだと、改めて実感しました。

 そして今は、「アテンション・エコノミー」とも呼ばれる、"関心"そのものが価値を持つ時代です。だからこそ私たち一人ひとりが、自分自身の「情報との向き合い方」を強く意識する必要があります。興味のある情報だけを摂取する“情報の偏食”に陥ることなく、できる限り多様な立場や意見に触れる努力が求められます。そのうえで、自分の中にしっかりと「考える軸」を持ち、社会に対してどのような選択をすべきかを見極める「情報的健康」が不可欠であることを、改めて痛感しました。そして同時に、私の中で浮かんできたのが「日本人とは何か?」という根源的な問いです。日本の政党であれば、日本に暮らす人々に寄り添うのは当然のこと。ただ、その“寄り添い”の対象とは誰なのか、また、どのように包摂されうるのかといった視点は、より丁寧に、深く考える必要があるのではないでしょうか。多様化が進む現代社会において、「日本人の定義」とは固定的であってはならず、開かれ、共に生きる社会の理念へと変わっていくものだと感じます。


権現岳岩峰直下檜峰神社から赤岳を望む(筆者撮影)

 民主主義とは、多数決で物事を決めるだけの制度ではありません。むしろ、少数派の声や権利をいかに丁寧にすくいあげ、社会の中に活かしていけるかが、その健全性を測る尺度です。私たちは、多数派の意見だけに流されるのではなく、すべての人の尊厳と人権を尊重する姿勢を保つ必要があります。それこそが、「デジタル社会における民主主義の本質」であり、情報に惑わされないリテラシーの根幹でもあると私は思います。政治や社会に向き合ううえでも、私たちは今後さらに、「共感を集める表現」に一喜一憂するのではなく、自分の目と耳と心をすり合わせ、主観と客観を往復しながら捉える姿勢を養っていくべきです。

 最後に、こうした「学び考える力」を育む場として、2025年10月10日(金)にKK2で開催される《第12回 デジタルTERA小屋》をご紹介します。今回のゲストは、女子プロゴルファーとしてツアー2勝を挙げたのちに、スポーツ心理学を学び、現在は大学教員として若者の育成に尽力されている石原端子さんです。「競技生活の終わりは突然やってきた」と語る彼女は、“セカンドキャリア”と向き合い、心のケアや教育現場での「寄り添い」に力を注いできました。進んできた道が閉ざされ、「どう生きるか」「どう学び直すか」「次に進むには何が必要か」といった問いに向き合うことは、よく起こります。人生の転換点に差しかかっている方、アスリートのその後に関心のある方、未来を育てる教育に興味のある方。ぜひこの対話と共感の場にご参加ください。お申込み・詳細はこちら

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