東京のゲリラ豪雨に何を思う
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田中純一
一般社団法人ビル減災研究所 代表理事
一般財団法人AVCC理事
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9月11日、東京は突然大雨に襲われました。突然ではありましたが、この日午前中から「午後、東京の23区でも活発な雨雲や雷雲が発生し、ゲリラ雷雨となる。短い時間に一気に強まるような雨になるため、都市部では排水が間に合わず冠水する恐れがある。帰宅の足にも影響があるかもしれない。」といった天気予報(警告)が気象協会などから発表されていましたので、寝耳に水というわけではありませんでした。日本気象協会2025年09月11日11:35の記事
結果的には気象庁が14:30世田谷区付近で約100ミリ降雨ということで15時前に東京都記録的短時間大雨情報を発出、港区などは同内容の防災情報メールを即時配信しています。このあと気象庁はほぼ1時間の間に、観測地点の異なる計5件の情報を発出しましたが、ご承知のように城南地域ではあちこちで水害に見舞われました。
私はこの時間帯に当の城南地域にいたので、雷鳴と大雨を実感。小一時間後に近くの武蔵小山、戸越銀座といった有数の商店街を歩いてみましたが、目にしたのは店内浸水の後始末に汗する方々でした。武蔵小山は全体がアーケードですから街路に雨はかかりませんが、両側の側溝から溢水したようです。戸越銀座は屋根無しで、商店街は暗渠化された旧河川と重なる谷にあたる位置なので両側地域から水が集まり川のようになったようですが、ハザードマップ通りでした。
浸水しなかったお店もかなりありました。よく見ると道路から段差なく入れる店は浸水していますが、ちょっと段があったりスロープがある店は無事のようでした。水害を考えてそういうつくり方をしたのかもしれませんが、段差の程度は他の事情によるものも多そうです。多少の段差も川のような流れになってしまった地区では無力でした。
災害への備えが度々話題になります。首都直下地震を考えれば、まずは耐震、そして家具や什器の転倒暴走対策が命を守ることに直結しますが、今回のような水害ではどんな対策が準備されていたのでしょう。河川の氾濫の実績のある地域では、調整池など大規模な治水工事も行われている一方、防潮板(止水板)や土嚢を自力で整備している建物も多くあります。防潮板は設置工事を要しますが、土嚢は土を使わず吸水ポリマーを水で膨らませる方式も開発されており、備蓄に場所をとらず取り扱いも簡単です。
土嚢利用イメージ図
ニュースで見た商店街の関係者へのインタビューでは、最近商店街に出店した若い人はかつての地形などを理解していないかもしれない、とのこと。出店にあたってハザード情報に触れる機会もあったはずですが生かされなかったということでしょうか。では旧来の商店主は土嚢を用意していたのかという疑問も残ります。
冒頭に書きましたように、突然の大雨とはいえ2~3時間の余裕はあったはずです。その間に何を想定してどう行動すれば被害を小さくできるか、それには何を準備しておくべきか。そんな課題を感じた一日でした。早く復旧が進むことはもちろん、したたかに迎え撃つ準備が進むよう祈ります。
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