私は「情報的健康」なのだろうか?
|
久保田了司
一般財団法人AVCC 理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表
|
新入社員だった約50年前、配属された職場の上司から「新聞を二紙取りなさい」と指導を受けました。そして毎日のように、「その日の新聞記事が会社の仕事や自分の生活にどう影響するか?」という口頭試問が始まりました。上司はいつも丁寧に私の話しに耳を傾けてくれました。上司と私の考え方の違いを確認し、上司を深く理解し、自分への理解も深まりました。
起床から出社までの時間に二紙を読み切るのは正直つらかったのですが、振り返れば毎朝のこの時間が充実しており、ビジネスパーソンとして毎日情報を取りにいく習慣を身につけ、考え、学び、行動する。同時に一つの情報源だけで判断してはならないことを学ぶ大切な機会でした。
当時はまず媒体を選び、紙面をざっと眺めてから読むので、思いがけない記事にも自然と触れました。自分の好きな話題ばかりではなく、社会の輪郭を広くなぞる感覚があったように思います。
 青空と秋蕎麦の花(筆者撮影)
現在はデジタル社会。アテンション・エコノミーが前提となり、DPF(デジタル・プラットフォーム)は利用者の関心を集めて分析し、媒体単位ではなく“私が興味ありそうな記事”(コンテンツ)を次々に届けてきます。便利で効率的な半面、私は自分で選んでいるつもりでも、実はDPFが選んだものを摂取しているのではないか―そんな不安が大きく広がります。
私たちは、多様な情報にバランス良く接しフェイクニュースや情報偏食に対する「免疫力」を獲得した状態を「情報的健康」と呼んでいます。(詳細は「情報的健康について―アテンション・エコノミーにどう向き合うか」をご参照ください。)
では、私は「情報的健康」なのだろうか?情報源は偏っていないか。記事(コンテンツ)のおすすめに流されず、多様な視点に目を配れているだろうか。アルゴリズムから離れて考える余白を持てているか。自分自身を丁寧に評価してみたいと思います。皆さまも、ご自身の「情報的健康」を意識してみませんか。具体的な実践や工夫があれば、ぜひ教えてください。グッドプラクティスを持ち寄り、バランス良い情報摂取を実践していきたいものです。
|