労働規制の緩和
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平田英世
一般財団法人AVCC理事
元 富士通株式会社 シニアアドバイザー
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今年の新語・流行語大賞の年間大賞に高市総理の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれました。この言葉には賛否両論があるようですが、JNNの11月1日、2日に実施された世論調査では「労働時間の上限の規制を緩和することに賛成64%、反対24%」との結果が出ており、もちろん過労死をなくすという観点からはとんでもないとのご意見もあるでしょうけど、やはり一所懸命働かないと成果は出せない、専門性が磨けないというご意見の方もそれなりにおられるのではないかと感じます。

筆者がAIで作成
今、世の中は働き方改革が求められており、効率化やAIの活用など従来の「働いて働いて…」ではなく、残業や過剰労働を減らすということが大きな方向性になっていると思います。
私はIT業界でシステム開発に長年携わってきました。当時は平均残業時間は70~80時間/月が当たり前で、IT業界はコンピュータシステムの入れ替えやトラブル対応などがすべてお客様の業務時間外となることから残業するのが常態化していました。
ところが厚生労働省が運営している「女性の活躍推進企業データベース」(残業時間の数値は女性だけではなく従業員一人当たりの数値として報告)を参照すると、富士通、NEC、日立の月あたりの平均残業時間は6~9時間と報告されており、どうやって改善したのかとびっくりする数字となっています。他方、長野県内の公立の小中学校と特別支援学校の教職員の1カ月の超過勤務時間が平均76時間8分に上ることが、県教職員組合の本年度の勤務実態調査で分かりました。
私の感覚では、何か結果を残すとか、特に仕事に納期があってスケジュール通りに完了させることが求められているとか、あるいは、自分なりに納得するまで物事を追求したいとか、状況や条件は様々でしょうがそういった環境下では、働く時間や、労働条件などはある程度必要に応じてフレキシブルにするべきではないかと思います。もちろん上記の学校の先生の残業は先生に与えられる仕事量がそもそも多すぎるのかもしれませんし、富士通やNECのような大企業では残業を減らすために、個人の作業量を調整し複数人チームでこなすことで作業量の適正化をはかるといったことが行われているのかもしれませんが、専門性がより求められる時代にはより柔軟な働き方を許すという、いわゆる労働規制の緩和はやはり必要なことではないかと思います。
個人的な話ですが、数年前に私が担当していたプロジェクトで、いろいろな条件が重なって納期が遅れる危険性が高まったときに、土日や休日返上で作業はできるか、とメンバーに問いかけたところ、誰も返事をしてくれなかったことを思い出します。昔なら、有無を言わさず、でしたが、それはたぶんパワハラと言われてしまうと思います。働き方改革とは、もちろん過剰労働や過労死を避けることは目的であるとは思いますが、個人のある程度裁量も加味された労働環境を許容するような方向にぜひ行ってほしいと、高市総理の厚生労働省への労働時間規制緩和検討指示の結果を期待したいと思います。
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