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メッセージ from KK2
KK2weekly【メッセージfromKK2】(第922号 2025年12月26日発行)by AVCC
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深まるGゼロ世界の混迷
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古賀 伸明
元連合会長
公益社団法人国際経済労働研究所会長
一般財団法人AVCC理事
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早いもので、今年も残り少なくなった。年の瀬は1年を振り返り、これからの世界・社会や自分自身の立ち位置を静かに考える貴重な時間でもある。
そうした思索のための重要な材料を提供してくれるのが、毎年年初、国際政治学者イアン・ブレマー氏が率いる米国のコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」が発表する「今年の10大リスク」だ。今年、最大のリスクとして挙げたのは「深まるGゼロ世界の混迷」だ。
「Gゼロ」は、世界的な課題に対して主導的な役割を果たし、国際秩序を維持する国家が存在しない状態を表す用語で、ブレマー氏が2011年に提起した概念だ。
今年はリスクがかつてないほど高まり、冷戦初期に匹敵する危険な時代に入りつつあると警鐘を鳴らした。
とりわけ、今年1月、世界最大の影響力を持つ米国の大統領に就任したトランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、外交政策をより取引的なものとし、多国間主義や国際機関、法の支配への支持を後退させた。
一方、世界に衝撃を与えたロシアによるウクライナ侵攻は、来年2月で4年を迎え、2023年パレスチナ・イスラエル戦争も未だ終結していない。中国は深刻な経済問題や国内課題をかかえながら、西太平洋において力による現状変更を狙い、日本や東南アジア諸国を威圧している。
さらに、北朝鮮やイランは核開発を加速させている。不拡散体制は揺らぎ、核戦争のリスクは確実に高まっているのにもかかわらず、それを食い止める有効な国際的枠組みは見当たらない。
自由と民主主義の後退も顕著だ。多発する紛争は膨大な数の避難民を生み、グローバル化の進展によって格差が拡大した主要国では、移民排斥や内向き志向が勢いを増している。
大国の身勝手な行動と核軍拡、気候変動対策の停滞が続けば、人類と地球が破滅の道を歩む。最悪の事態を阻止するための唯一の道は、国際社会が再び結束するしかない。
多極化が進む世界で重要性を一段と増すのが「法の支配」だ。共通のルールがなければ、政治体制や価値観の異なる国同士が対話を通じて問題解決を図ることは不可能だ。
日本は超大国ではないが、国際秩序の安定に貢献する政策を実践し、世界からの信頼を積み重ねることで、自国の安定も支えられる。グローバル化した世界において、日本の安定は日本だけの問題解決では実現できない。
私たち一人一人も万物の命と地球を大切にし、他者のために自己の最善を尽くす、すなわち自国や自分の利益だけで物事を判断せず、社会で起きている問題を自分自身が向き合うべき課題として受け止める当事者意識が不可欠だ。
同時に、自らの日々の行動や判断を内省し、人格形成に向けた真摯な努力を積み重ねていく強い意志こそが、不安定な時代を生き抜くための確かな支えとなる。
混迷の度を深める世界にあっても、小さな行動と継続的な努力が、やがて社会を、そして国際社会を変える力になると信じたい。
皆さんが新しい年を、平和と希望を胸に迎えられることを心から願っています。良いお年をお迎えください。
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古賀 伸明
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。一般財団法人AVCC理事。
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