世界の学生移動はどこへ向かうのか ― Open Doors 2025が映す「これからの日本」
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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新しい年となりました。今年もよろしくお願いいたします。
多くの変化があった昨年でしたが、今年はどんな年になるのでしょうか。毎年11月に発表される米国への留学生統計 Open Doors 2025(IIE)(PDFへリンク)から、世界の学生移動の動きを見てみたいと思います。2024/25年、米国で学ぶ留学生数は約118万人と、コロナ後の回復が進みました。インドが首位を維持する一方、中国は減少が続き、十数年続いた「中印二極」に揺らぎが生じています。
今回、特に注目されるのは南アジア・アフリカを中心とした「グローバルサウスの台頭」です。ネパールやバングラデシュ、ガーナ、ナイジェリアなど多くの国で留学生数が大きく伸び、世界の学生移動が多極化し始めたことがうかがえます。国連の人口統計によると、これらの地域は若年人口が増え続ける地域でもあります。この動きは、単なる競争相手の増加ではなく、日本にとって、異なる背景を持つ若者たちと学び、働き、共に社会をつくる可能性を広げるものとも言えるでしょう。そのためには、受け入れる側である日本社会自身も、学び方や働き方を柔らかく更新していく必要があります。
専攻分野を見ると、情報科学・コンピュータや工学系が大きな比重を占め、各国が「未来につながる若者」をめぐる競争に本腰を入れている様子が浮かび上がります。
では、日本はどうでしょうか。見逃せないのは、日本人にとって海外留学が、費用や情報の面で、次第に一部の家庭や個人に限られた選択肢になりつつある現実です。奨学金や制度はあるものの、「海外で学ぶ」という選択が、身近な進路として想像しにくくなっている点も、気になるところです。その結果、留学の機会そのものが若者にとって「アフォーダブル」ではなくなり、外に出る日本人学生数は伸び悩んでいます。一方、受け入れ側でも、卒業後の就労や定着の仕組みはまだ十分とは言えません。
世界が「出る・受け入れる」の両面で動きを強める中、日本は、台頭するグローバルサウスとどれだけつながれるでしょうか。世界の高みで誇らなくとも、自分たちの足元を確かめながら、「その場所」へと進む力が今求められています。「内なるグローバル化」はインバウンド対応だけの変化ではありません。DX/AIの時代です。地域や世代を越えて学び合う「デジタル公民館」というKK2も、国境を越えた学びを提供する役割へと、今後広がっていくのかもしれません。
Open Doorsに関する過去の記事はこちらをご覧ください
https://www.kk2.ne.jp/mail-backnumber?search=open%20doors
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