|
メッセージ from KK2
KK2weekly【メッセージfromKK2】(第927号 2026年1月30日発行)by AVCC
|
情報的健康を意識して――アテンション・エコノミーの時代を健やかに生きるために
食べ物をとるとき、私たちはバランスを大切にする。いくらラーメンが好きでも、朝昼晩ラーメンという人はあまりいないだろう。スーパーで食品を選ぶとき、私たちは誰が・どこで・何を素材に作ったのか、添加物がどれぐらい入っているのかなどを見て、その安全性や信頼性を確かめたりする。では、「情報」をとるときはどうだろうか。特定のジャンルのコンテンツ、特定の政治的意見、特定のインフルエンサーの投稿ばかりを「偏食」していないだろうか。また、情報発信者の真正性や、情報内容の安全性や信頼性を確かめずに、バズった情報をひたすら「暴飲暴食」していないだろうか。
「アテンション・エコノミー(注意経済)」と呼ばれるSNSのビジネスモデルでは、閲覧数や「いいね」などで指標化される人々の注意・関心が経済的利益に直結するので、SNSのアルゴリズム・AIにより、そのユーザーが欲する情報や、人間が本能的に反射してしまう刺激的な情報が次から次へとオススメされてくる。そこでは、構造上、「偏食」や「暴飲暴食」が起きやすいのだ。
食べ物はカラダをつくるが、情報はココロをつくる。
そうだとすれば、この情報化社会において必要なのは、食べ物を摂取するときと同様、情報を摂取する際にも、その安全性・信頼性やバランスなどを意識し、それによって偽・誤情報等への「免疫」を身につけること――「情報的健康(informational health)」――ではないだろうか。このような健康は、個々人が自らの望む幸福を追求するためにも必要であるし、健全な民主主義社会の維持のためにも必要であろう。
かつて福澤諭吉は、心身の健康が「健全な国家社会を生み出す」と述べた。彼は、健康を独立自尊の前提と考え、特に大切にしたのである。その福澤の考えにも触発されながら、現在、慶應義塾大学 X Dignityセンターでは、文系理系の垣根を超えて、まさに領域横断で「情報的健康」について研究し、その重要性を社会に向けて発信している。関心をもってくれた読者がいれば、ぜひこの新しいコンセプトについて家族や友人と語り合い、輪を広げていただければ幸いである。
|
|
山本 龍彦
慶應義塾大学大学院 法務研究科 教授
同大学X Dignityセンター共同代表。1999年、慶應義塾大学法学部法律学科卒。2005年、同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。2007年、博士(法学)。専門は、憲法、情報法。総務省「ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会」座長、デジタル庁「国際データガバナンス検討会」座長などを務める。著書に『アテンション・エコノミーのジレンマ』、『プラットフォームと国家』(編集代表)などがある。
[KK2出演プログラム]
■情報的健康について―アテンション・エコノミーにどう向き合うか(2023年)
■憲法からみたAI社会のリスク(2019年)
|
|
☆公式YouTubeでAI読み上げ動画も掲載中!
|
|
メッセージはいかがでしたか? 10秒アンケートにご協力ください(匿名・選択式) ⇒ こちらをクリック
|
|
|
|

■発行元:一般財団法人AVCC 霞が関ナレッジスクエア事務局
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート 西館ショップ&レストラン 3F
電話:03-3288-1921 携帯電話からは:03-6821-1121
■メルマガのバックナンバーはこちら
|
|
霞が関ナレッジスクエア(KK2)は学校教育や企業研修では教えていない「しごと力」をいつでも、どこでも、誰でも学べる場を提供することを目的に、一般財団法人AVCCの公益目的事業として運営しております。
|