2026 旧正月の誓い
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石原端子
沖縄大学准教授
一般財団法人AVCC評議員
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今年の1月は、沖縄でも寒い日が多く身体を丸めて過ごす日が多かったように思います。2月に入り緋寒桜が満開になるとともに、ようやく20度を超える日常が戻ってきました。ちなみに今年の旧正月は2月17日です。地元のスーパーには、もう一度正月関連の食品が並びます。正月気分が2度楽しめる、この時期の私の密かな楽しみです。

那覇市内の緋寒桜 *筆者撮影
さて、1月30日あるご遺族のもとにお伺いしご仏前にお参りさせて頂きました。仏になってしまった彼は、2021年当時コザ高校に通い空手部のキャプテンをしていました。しかし、部活動顧問からの執拗な叱責を受け自死しました。私はこの一報をネットで知りました。「なぜ?なぜ、命が大切だと一番わかっているはずのこの沖縄で?それもスポーツを通して?」との思いがかけ巡る衝撃的なニュースでした。
スポーツ界でパワハラが大きくとりあげられるきっかけになったのが、2012年の桜宮高校バスケ部キャプテンの自死事件でした。その後多くの団体がハラスメント防止の声をあげたことで、確かに「身体への暴力」は減少してきました。しかし「言葉による暴力」は増加しその後も自死事案は続いていました。そんなスポーツ界に嫌気がさし「何をやっても無駄だよな」と諦めの気持ちを抱いていた私に、空手部の彼の死がぐさりと刺さったのです。2021年6月に沖縄県教育委員会が立ち上げた「部活動等の在り方に関する方針(改定版)検討委員会」の委員をお引き受けしたのは、自分にできることをやろうという覚悟からでした。おとなが諦めている場合ではないのです。改定版の提出後、2022年からは「沖縄県部活動改革推進委員会」が設置され、委員として現在も改革に関わっています。
その委員会で話し合いを続ける中で挙がったのが「高校生の声」を改革の土台にすることでした。2023年に県内7校から22名の現役高校生に集まってもらい、「自分たちが主体となる部活動になるためには、今どんなことが必要なのか」について意見を出し合ってもらいました。最終的に計5回(通算11時間半)におよぶ時間をかけ、彼らがメッセージを作ってくれました。私はファシリテーター役としてすべての時間をともに過ごしましたが、時には言葉選びに熱くなり互いに激論をかわしたり、選んだ言葉は本当に伝わるのかと参加していた新聞記者に尋ねたりと、彼らの言動に敬服することしきりでした。ただ、彼らのこの純粋なメッセージが高校現場のすべての人に届いたかというと、否でした。
あれから5年が経ち、コザ高校の事案を知らない世代も増えています。この3月から競技団体と連携する新たな取り組みが始まります。この1月末は、「諦めないから見守っていてね」と仏前で報告しました。
◆「沖縄県公式チャンネル」YouTube「高校部活生メッセージ2023」
◆TBS NEWS DIG 理不尽な部活指導で命を絶った我が子はなぜ「生徒A」になったのか…【ドキュメンタリー全編・我が子を亡くすということ】
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