首都直下地震の新・被害想定 要配慮者250万人の衝撃
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田中純一
一般社団法人ビル減災研究所 代表理事・所長
一般財団法人AVCC理事
防災士
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先日再び3.11を迎えました。あの日、首都圏におられた多くの方は帰宅困難に直面、何時間も歩いてやっと帰宅。そんなご記憶の方も多いのではないかと思います。しかしながら、懸念される首都直下地震では東京が阪神淡路大震災のような状況になっている可能性が高く、帰宅行動が群衆雪崩に巻き込まれる危険に繋がり、緊急車両の通行を妨げ救出活動に支障を及ぼす、などと指摘されてきました。帰宅を強行することは自分にも他人にもプラスにならない、ということを私もこれまでKK2でお伝えしてきました(帰宅困難者問題を考える)。
メッセージfromKK2第925号で秋田義一氏が紹介されているとおり、政府の中央防災会議が昨年末に首都直下地震の新たな被害想定を公表しました。既に前回想定から10年経過したこともあり、社会情勢の変化や対策の進展に鑑み見直しを図ったものですが、耐震化や感震ブレーカーの普及で建物の全壊・焼失棟数が約21万棟減少、その影響もあって死者が約5,000人減少しています。歓迎すべき変化ではありますが、なお全壊・焼失が40万棟、死者が18,000人という状況です。対策が途半ばであることを痛感します。
一方、歓迎できない変化もありました。帰宅困難者が1都4県で40万人増えて840万人となっています。更に、今回は要配慮者等が250万人という内訳が示されました。帰宅困難者とは交通機関の途絶などで容易に帰宅できなくなる人のことですから、職住近接でない都市構造を考えると人数を減らすことは困難です。問題は職場や学校など留まれる場所が無い帰宅困難者(帰宅難民と呼ばれることもある)ですが、840万人のうち160万人が該当し、要配慮者が半分を占めます。

中央防災会議 防災対策実行会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ「都心南部直下地震の被害想定」より事務局作図
(四捨五入の関係で合計が一致しない場合があります)
この帰宅困難者数の内数として要配慮者等の人数が250万人と示されたのは今回が初めてです。特に「行き場の無い 要配慮者83万人」という規模をどう受け止めたらいいのか、思案に暮れています。70歳以上の高齢者が大半を占めますが、人生100年時代などと言われる昨今、少し年齢を上げて(人数を減らして)集計する余地もありそうです。一方小学生、障がい者、妊婦または乳児連れの方については、帰宅困難者一時滞在施設があれば良いということではないと思われ、誰がどこでどうやって対応するのかが懸念されます。
帰宅困難になって一時滞在施設を利用する方は、こういった要配慮者への対応に協力したいものです。受け入れ側の民間の施設管理者は、多様な要配慮者との遭遇も想定して訓練する必要があります。3.11の時から帰宅困難者の受け入れに努め、千代田区とも協定を結んでいるKK2も例外ではないでしょう。
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