スポーツ・インテグリティを考える
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石原端子
沖縄大学准教授
一般財団法人AVCC評議員
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ゴールデンウィーク中の5月4日に、沖縄が梅雨入りしました。例年通りであれば、梅雨明けは6月23日の「慰霊の日」を迎える頃になるでしょうか。今年の梅雨は、なぜか蒸し暑さより肌寒さを感じることが多いのですが、そんななかでも木々の緑は生き生きと鮮やかで、自然の逞しさを感じます。
 写真左:月桃の花、写真右:月桃の葉に包まれた「のまんじゅう(沖縄県の伝統的な蒸し饅頭)」筆者撮影
4月中旬、那覇地区ミニバスケットボール連盟の指導者&保護者研修会にて講師を務めました。講師をお引き受けする際には、いつも事前の打ち合わせをさせて頂きます。どのような研修会にしたいのか、その目的を明確にしたいからです。現場を知る方々とお話をしながら流れを決めていきますが、今年頂いたテーマは、「Integrity(インテグリティ)」でした。スポーツの文脈ではまだ馴染みの薄いこの言葉が出てきたことに驚くと同時に「この団体は本気でハラスメント対策に取り組もうとしているのだ」と嬉しく思いました。インテグリティは、「品格・高潔性・誠実さ」など人間の人格や行動の根幹をなす重要な資質を指す概念です。私はよく「品格」という言葉でお伝えしています。スポーツが社会のなかで信頼に足るツールであるためには、この「スポーツ・インテグリティ(品格が守られている状態)」が保たれていることが大前提となります。しかし、現状はどうでしょうか。
次の問いは、日本スポーツ協会(JSPO)が実施している「NO!スポハラ」活動に関する認知度等調査のなかにある一つです。みなさんの考え方はAとBどちらに近いでしょうか。
A:スポーツの競技力(成績)が向上するならば、指導者・コーチ等による不適切な行為(例:暴力、暴言、ハラスメント)はあってもよい
B:いかなる理由でも、指導者・コーチによる不適切な行為(例:暴力、暴言、ハラスメント)はあってはならない
最新の調査結果によると、JSPOのコーチング資格を有する「公認指導者」でさえ、いまだ3割が「A」を肯定する回答をしています。また、私がまとめたデータからは、保護者の約半数がスポハラの現場を目撃しても「何も行動を起こさない(起こせない)」でいることがわかりました。そこには、周囲への忖度や複雑な背景があるものと推察されます。
さて、5月15日は、令和8年度AVCC&KK2事業説明会「すべてを力に ~スポーツで社会を変える~」と題し、有森裕子氏の講演が予定されています。コーチングのあり方の過渡期といえる今、すべてのスポーツ環境で安全と尊厳が守られているとは言い切れません。しかし、有森氏のようにスポーツ界に「スポーツの価値」を体現しようとする人がいることは、何よりも救いであると感じています。
◆JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」および「NO!スポハラ」活動に関する認知度等調査
◆石原端子(2026)「沖縄県運動部活動におけるスポーツ・ハラスメントの現状と課題」沖縄大学人文学部紀要第29号:p. 97-105.
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