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メッセージ from KK2
KK2weekly【メッセージfromKK2】(第943号 2026年5月22日発行)by AVCC
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人口問題白書
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古賀 伸明
元連合会長
公益社団法人国際経済労働研究所会長
一般財団法人AVCC理事
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総務省が推計した今年4月1日時点の15歳未満の子どもの数は1329万人となり、前年より35万人減少した。総人口に占める割合は10.8%で、1950年には35.4%だったことを思えば、この数字は日本社会の人口構造変化の大きさを物語っている。
こうした中、去る3月末、民間組織「未来を選択する会議」が「人口問題白書2025」を公表した。「人口」を正面から扱った白書は、政府の人口問題審議会による1959年、1974年の「人口白書」以来、約半世紀ぶりの試みとなる。当時は人口増加をどう抑えるかが課題だった。しかし現在、日本は真逆の局面に立っている。
私も前身である「人口戦略会議」から参加しているが、議論を重ねるほどに痛感するのは、人口減少ほど確実に日本社会の基盤を蝕んでいる問題はないということだ。人口減少は、経済、地域社会、社会保障、教育、医療、介護など、あらゆる分野に連鎖的な影響を及ぼす。
すでに生産年齢人口の減少によって、深刻な人手不足が社会全体で顕在化している。一方で高齢化に伴う医療・介護費は増え続け、支える現役世代は減少する。地方では過疎化が進み、公共交通やインフラの維持すら難しくなっている。
この流れに歯止めをかけるためには、少子化を「個人の問題」ではなく、「社会全体の責任」として捉え直す必要がある。もちろん、結婚や出産は個人の自由であり、他者が強制すべきものではない。しかし、本当は結婚したい、子どもを持ちたいと思っていても、経済的不安や働き方の問題によって断念せざるを得ない人が少なくないとすれば、それは社会の側の問題だ。
児童手当など経済支援の拡充は重要だが、それだけでは不十分だ。背景には、若者の雇用と所得の不安定さがある。非正規雇用の増加や低賃金構造の中で、将来への見通しを描けなければ、結婚や子育てへの一歩を踏み出しにくい。少子化対策の核心は、若い世代が安心して働き、生活し、将来に希望を持てる社会をつくれるかにある。
同時に、長時間労働や性別役割分業を前提とした社会構造も変えなければならない。家事や育児の負担が女性に偏る現状では、仕事と子育ての両立は難しい。男性の働き方改革を進め、男女ともに育児と仕事を両立できる環境を整えることが不可欠だ。
さらに重要なのは、「子育ては家庭だけの責任」という発想から脱却することだ。子どもは未来の社会を支える存在であり、社会全体で育て支えるべき公共的な存在でもある。保育、教育、医療などを含め、子育てを社会全体で支える仕組みを一層強化しなければならない。
もっとも、仮に出生率が回復したとしても、人口減少そのものがすぐ止まるわけではない。だからこそ、人口減少を前提に社会制度を再設計する「賢く縮む」という視点も重要になる。人口規模に見合った行政やインフラ、地域のあり方を考え直しながら、一人ひとりが豊かさや幸福を実感できる社会を築いていく必要がある。
人口減少に特効薬はない。しかし、若い世代が「この社会で生きていける」「支えられている」と実感できる社会をつくることができれば、流れを緩やかに変えていくことは可能である。いま私たちに求められているのは、小手先の対策ではなく、社会構造そのものを見直す覚悟と、それを継続する強い意思だ。
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古賀 伸明
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。一般財団法人AVCC理事。
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