メッセージ from KK2

KK2weekly【メッセージfromKK2】(第949号 2026年7月3日発行)by AVCC

人手不足時代をどう乗り越えるか ーAIと外国人材で支える地域と組織の未来ー

久保田了司
一般財団法人AVCC理事長
霞が関ナレッジスクエア(KK2)代表

 日本では少子高齢化が進み、医療、介護、交通、行政、地域活動など、私たちの暮らしを支える現場で人手不足が深刻になっています。これは地域だけの課題ではありません。企業や組織にとっても、これまでと同じ仕組みを同じ人数で維持することが難しくなる時代が来ています。

 たとえば、市町村の消防本部では、救急隊員、消防隊員、救助隊員の確保が大きな課題となっています。高齢化により救急出動は増える一方で、新規職員の応募は減少しています。小規模な消防本部では定員割れが起きたり、救急隊員が消防隊員や救助隊員を兼ねたりすることも少なくありません。一つの出動で署に残る人員が少なくなり、火災、交通事故、自然災害、救助活動が重なれば、地域の安心・安全に大きな影響が出ます。

 こうした状況の中で必要なのは、人口が減っても安心して暮らせる社会をつくることです。このことが「賢い縮小」であると考えます。ここでいう縮小とは、単に規模を小さくすることではありません。限られた人材や財源を、本当に必要なところに生かし、暮らしの質、すなわちQOLを保つために、社会の仕組みを再設計することです。

 そのためには、デジタル化とAIの力が欠かせません。消防や救急の分野でも、通信指令の共同化、救急需要の予測、災害時の状況把握、ドローンの活用、本人同意に基づく健康・生活データの活用など、AIやデジタル技術が人の力を補う場面は広がっています。

 ただし、AIに任せきりにしてよいわけではありません。情報があふれる時代だからこそ、正しい情報を見極める力、自分の頭で考える力が不可欠です。AIが膨大な情報を処理し、速やかに答えを示す時代であっても、最後に感じ、考え、責任を持って判断し、行動するのは人間です。また、デジタルを使える人だけが安全で便利になる社会であってはなりません。高齢者も、子どもも、外国人も、障がいのある人も、デジタルが苦手な人も、誰もが安心して暮らせる仕組みをつくることが大切です。その意味で、外国人材も単なる「労働力」ではありません。地域や組織を共につくる大切な仲間であり、これからの社会を支えるパートナーです。


「蓮の花とミツバチ」妙心寺退蔵院にて(2022.07.08筆者撮影)

 「令和」の社会では、一人ひとりが異なる背景や価値観を持ちながら、互いを理解し、違いを認め合い、尊重することが求められます。元号「令和」に込められた「美しい調和」とは、自分も他者も等しく尊重される存在であるという考え方の上に成り立つものではないでしょうか。人口減少、人手不足、AIの進展、外国人材との協働。これらは別々の課題ではなく、これからの地域と組織のあり方を考えるうえで、深くつながっています。

7月9日(木)19:00から開催する第14回デジタルTERA小屋では、「外国人材は労働力ではなく、地域と組織を共につくるパートナー」をテーマに、外国人材マッチングの最前線に挑む起業家・鈴木晴美さんにご登壇いただきます。外国人材と共に働く未来、そしてAI時代における地域と組織のあり方について、皆さんと一緒に考えたいと思います。KK2会場またはオンラインでお待ちしています。

公式YouTubeでAI読み上げ動画も掲載中!

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