「考える力」を手放さないために ―新しい時代の「しごと力」―
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伊庭野基明
一般財団法人AVCC理事
KK2グローバルキャリアカウンセラー
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グーテンベルクの活版印刷、ワットの蒸気機関、フォードの大量生産、ライト兄弟の初飛行――歴史を振り返ると、社会を根底から変える技術革新が何度も起きてきました。そのたびに人々の暮らしや働き方、社会の仕組みは大きく塗り替えられてきています。しかし同時に、どの時代においても、変化の波の中で人間が問い続けてきたことがあります。「この変化の中で、自分はどう考え、どう生きるのか」という問いです。
そして今、私たちは新たな転換点に立っています。AI(人工知能)の急速な進歩です。文章作成・翻訳・情報整理・企画立案など、かつて人間にしかできないとされてきた知的作業をAIが支援するようになり、日常と仕事のあり方が大きく変わり始めています。皆さんの周りでも、AIと対話しながら考えを整理したり、文章を書いたりする機会が増えているのではないでしょうか。
私自身も先月、KK2しごと力向上ライブラリで『これからのAI社会をどう生きるか』を収録し、公開しました。2008年以来取り組んできたテーマの最新版です。収録を終えて改めて感じたのは、AIの進歩そのものよりも、人間側がどう変わるのかということでした。
AIは膨大な知識を集め、整理し、もっともらしい答えを示してくれます。しかし、その答えを採用するのか、別の道を選ぶのかを決めるのは私たち自身です。便利な時代になったからこそ、「自分は何を大切にするのか、何を目指すのか」という主体的な問いが、以前にも増して重要になっています。AIが考える時代だからこそ、自分の頭で考えることが求められるのです。そう考えると、KK2が長年取り組んできたコンピテンシー(Feel-人間関係力、Think-問題解決力、Act-行動力)を、改めて見直し、磨き直すことが求められるのではないでしょうか。KK2の「コンピテンシーチェック」では、ご自身のコンピテンシーを自己診断することができます。この機会に、ぜひ一度お試しください。
そして、コンピテンシーは一人で磨くものではありません。異なる経験や価値観を持つ人々との対話の中で、自分の考えを見直し、新たな気づきを得る――その積み重ねが人間としての成長につながってきましたし、これからもそれは変わらないでしょう。
AIが進歩するほど、「考える力」はAIに代わられるものではなく、私たち自身が磨き続ける力になっていくのかもしれません。世界も、そして私たち自身も新しい時代に入りました。私たちの能力が拡張される時代だからこそ、人間として何を考え、何を選び、どのような社会をつくっていくのか。その問いに向き合い続けることが求められています。
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