出前講座は学びの場
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石原端子
沖縄大学准教授
一般財団法人AVCC評議員
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台風の時期は何かとやっかいですが、とりわけ今年は、沖縄本島にも何度もおいでになり、いろいろな困りごとに巻き込まれています。“うーまくー(やんちゃ)台風”ですね。先日の13号は、筆記試験日と重なりそうでかなりヤキモキしました。80名ほどの学生に協力してもらい、念のため予備日まで調整したのですが、幸い台風の速度が遅くなり、試験は予定通り実施。心底ホッとしました(その翌日から3日間、家に閉じ込められることになりましたが……)。講義担当者には、こんな「台風対応あるある」がつきものです。

写真:一夜限りの幻の花と呼ばれている「サガリバナ」筆者撮影
さて、講義といえば、沖縄大学には「出前講座」という、中・高校生に大学の講義を体験してもらうコンテンツがあります。「目標を達成するには、コツがある」と名付けた私の講座は、スポーツ心理学の理論をベースに、目標設定のスキルについて、グループワークを交えながら体験的に学んでもらう内容です。先日も、ある高校で出前講座を担当しました。実は、この先生からは6年連続でお声がけをいただいています。毎年5月から7月頃にリクエストが入るのですが、その理由は、「今、このタイミングで、この生徒たちに聴いてもらいたい内容だから」。初めてご依頼をいただいた翌年のことです。先生から、「生徒たちのほとんどが第1希望に合格しました。よいタイミングで受講できたことがきっかけになりました」と、とても丁寧なメールをいただきました。私はすぐに、「それは、生徒のみなさんのがんばりと、それを日々支えてこられた先生のご努力以外のなにものでもありません」と返信しました。
出前講座は、依頼をいただいたら、そのまま出向いて講義をする、というものではありません。少なくとも私の場合は、事前に先生から「なぜ今、この講座なのか」「生徒たちに何を持ち帰ってほしいのか」を伺い、それを踏まえて内容を組み立てます。そして講座が終わった後には、生徒たちの様子や反応についてフィードバックをいただきます。先生方とのこうしたやり取りは、少し緊張もします。でも実は、私自身が最も多くのことを学べる、楽しい時間でもあります。こちらが高校生に何かを「教えに行く」というより、高校の先生と一緒に生徒たちを見守っている、といった方が近いかもしれません。
文部科学省の掛け声で「高大連携」という言葉が広く聞かれるようになってから、もう20年ほどになるでしょうか。華やかな取り組みだけではなく、こうして一つひとつの依頼について話を聞き、講義をつくり、終わった後にまた言葉を交わす。そんな「地味で地道な作業」の積み重ねのなかで信頼関係を築いていくことも、大学と高校をつなぐ大切な活動なのかもしれませんね。
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